//=time() ?>
短髪が少し伸びていた。中学校の先輩と1か月ぶりに街で会う。先輩は綺麗だから、新入学の高校でもモテますね。「ないない。女子高だもん」と笑われる。「今度は貴女が受験生。志望校はもう決めた?」。女子高だから心配ですが、改めて後輩を目指します。合格したら今度こそ、想いを伝えさせて下さい。
近くの神社で彼と出くわす。中学校の同級生。新年度からは同じ高校に進学する。あんた、熱心に何祈ってたのよ? 「教えねえ。お前こそ、柄にもなく神頼みか」。私も内緒。「言えよ、気になる」。言うもんか。鈍いあんたが気づかないから、神様に頼むんだ。今度は私に、打ち明ける勇気を下さい、って。
近所の神社で彼女と出くわす。中学からの腐れ縁。入学間近の高校でも一緒になった。「まるで私のストーカーだよね」。そっくりそのままお返しする。何しに来たんだ。神頼みなんて柄にもない。「あんたこそ。熱心に何祈ってたのよ?」。絶対言わねえ。また同じクラスになれますように、と願ったなんて。
会社の女性の先輩が、長い髪を切ってきた。「失恋?」。同僚や上司が驚いている。今どきセクハラになりますよ、と勇気を奮ってたしなめた。「鈍いくせに、君は相変わらず優しいね」。先輩が切なそうに微笑んだ。すいません、本当は俺も気になってます。ずっと密かに憧れてました。失恋って本当ですか?
長髪をばっさり切って出社した。同じ部署の男性陣が「失恋?」と驚いている。「そういうの、今どきセクハラですよ」。後輩の男の子がかばってくれた。相変わらず君は優しいね。でもさ、もう少し、女心も学んでね。私が髪を切ったわけ、実はみんなが正解なんだ。隣の席の年下に、まるで想いが届かない。
知らぬ間に幼なじみに恋してた。鈍い彼は気づいていない。高2の春、腹を括って彼を呼び出す。ずっとあなたを嫌いなの、別れよう。「そもそも俺たち、つきあってないだろう」。あのね、今日何の日だかわかってる? 「うん? 何だ、エイプリールフールかよ」。……だからその言葉、反対の意味なんだ。
「嫌いになった。私たち、別れよう」。17歳の幼なじみが突然言った。いや俺とお前、そもそも交際してないじゃんか。「今日何の日だかわかってる?」。ああ、エイプリールフールか。反対の気持ちを言ってもいい日だな。「そうだよ。仕方ない、前の台詞を翻訳するね。好きになった。私たち、つきあおう」
好きなのに、つい憎まれ口を叩いてしまう。高校の同級生。私から打ち明けるのは癪だから、何とか彼に告らせたい。呼び出して、2枚重ねた便箋を手渡した。「何だよ、1枚目の『告られるかと思った?』って」。精一杯の照れ隠し。早く2枚目も読んでよね。「『告れよ、バカ』って……いいの、本当に?」
高校のクラスの女子に呼び出された。口喧嘩ばかりだけど、実は密かに惹かれている。「今読んで」と俯きながら封筒を渡された。重なった便箋の1枚目には「告られるとでも思ったか。バーカ」。何だよ、この悪趣味は。「もう1枚も」。はいはい、二枚目にはどんな悪態書いたんだ? 「告ってよ、バーカ」
両親に名前の由来を尋ねたことがある。毎春みんなを幸せにするからだ、と聞かされた。でもね、花は必ず散るんだよ。半年前の高2の秋、重い病気が見つかった。彼は放課後、欠かさず見舞いに来てくれる。宣告された余命は半年。ごめんね、あなた一人も幸せにできなくて。サクラはそろそろ散りゆきます。