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高校の先輩を大好きだ。でも私は酷い難聴で、健常者と恋することを諦めている。その日、ぎこちない手話で彼に「好きだ」と告げられた。泣きながら、同じ仕草で答えを返す。続いて片手を下に向け、重ねるようにもう一方の手を回してみせた。先輩、次はこれも覚えて下さい。「愛してる」の意味なんです。
妹は人形のように美しい。姉の私はずっとコンプレックスを抱いてきた。勉強も運動も、だから必死で頑張った。就職し、男の人に初めて好きだと告白される。救いだったその彼が、今夜LINEで嘘をつく。出張は中止のはずだよね……。着飾った妹が、無言で微笑み家を出る。短かった恋の終わりを、私は悟る。
私から誘いをかけて彼と寝た。ベッドの中で姉を思う。勉強もスポーツもできて優しい彼女。そんな姉の存在は、ずっと私の重圧だった。でもね、可愛いのは私だよ。この人も、躊躇った挙句に私を抱いた。「……愛してる」と彼が呟く。ほらね。男なんてこんなもの。「ごめん、やっぱりお姉さんを愛してる」
年度末で別の高校に異動する。昨夏、教育大から続いていた交際相手と破局した。「先生、元気出して」。3年生の教え子が、僕を海へと誘ってくれた。「転任先にいるんだよね、元カノさんが」。彼女が涙を浮かべてる。うん。でも未練は断ち切るよ。卒業後、また会おう。今度は教師と生徒としてではなく。
大好きな先生が年度末で離任する。去年の夏、教育大から続いていた彼女と別れ、凹んでた。高校最後の夏休み、強引に誘い出し、海で秘密のデートをする。「あの時、お前に救われた。寂しくなるな。忘れない」。先生が囁いた。嘘だ。きっとすぐに忘れるよ。まだ未練があるんだもんね、転任先の元カノに。
高校卒業直前に、泣きながら彼にキスをねだった。片想いに終止符を打とうと考えた。そっと触れた唇に、けれど、好きが加速する。大学で、私は必死に自分を磨く。告白された数人に、頭を下げ、1年ぶりに彼にLINEを送信した。片想いされる辛さも知った。もう泣かない。久しぶりに会ってもらえませんか?
彼女から1年ぶりにLINEが届く。高校の卒業直前、「好きじゃなくても構わないから、一度だけキスをして」とせがまれた。大学で綺麗に垢抜けて、僕の前に現れる。「あの時ごめん。片想いって、される方も苦しいね」。呟く彼女の唇を、異性はきっと放っておかない。うんそうだ。今は僕が死ぬほど苦しい。
娘が私を好きでいる。思春期を迎えた頃、その感情は男親へのそれとは違うと気がついた。昨日、闘病中の妻が逝く。「早くママを忘れてね」。戸惑う私を強く抱き、娘が囁く。妻は前夫に死後の事を相談していた。伝えれば、娘の想いを変えられるだろうか。パパがパパになったのは、お前が三つの時なんだ。
昨日ママが病死した。昨冬の高校の帰り道、見知らぬ中年男と一緒にいるのを偶然見た。物心ついた頃から、私はパパを大好きだ。「今後どうしよう」。嘆くパパを抱き締めて、目撃談を囁いた。「……その人、お前に似てただろう」。パパが体を引き離す。「パパがパパになったのは、お前が三つの時なんだ」
教え子の気持ちに気づいてる。教師だから、7歳上の大人だからと自らに言い聞かせ、素知らぬふりで卒業を見送った。高校の至る所で、あの笑顔を探してる。倫理観でねじ伏せられないほど、彼女を好きになっていた。満開の桜が散る頃に、会いに行こう。今度は一人の男として、制服を脱いだ彼女のもとへ。