掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのプロフィール画像

掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。140字小説集『ごめん。私、頑張れなかった。』(リベラル社)、長編『ぼくと初音の夏休み』(扶桑社)、縦読み漫画(原案)『とある溺愛のカタチ~掌編小説アンソロジー~』(ブックリスタスタジオWebほか各種サイトで配信)。リンクは固定ツイートご参照。創作系のお仕事はDM下さい。
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高校の部活の先輩が卒業した。道化てばかりの私のことを、妹扱い。まるで好意が伝わらなかった。だから卒業の寄せ書きに、私は想いを忍ばせる。「すごく きたいしてます でも すぐにはムリかな」。先輩、最後のチャンスです。「妹」の気持ちを察して下さい。その一言、横書きだけど縦にも読めます。

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2025-11-12

元カノがベビーカーを押していた。休日の商業施設。そうか、結婚してたんだ。ここ数年、何度か彼女を思い出し、結局連絡できずにいた。学生時代、口喧嘩を詫びる時機を見誤り、破局した。今回もやっぱり手遅れか。「右手がお留守」。自分の命と引き換えに、亡妻が授けてくれた5歳の娘に手を取られる。

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SNSで同じ二十歳の男子と知り合う。誠実で、強く優しい。僕は今さら後悔する。失恋の痛手の弾みで、女子のふりして接してしまった。直接会って謝って、親友になりたいな……。勇気を奮い、会いたいです、とDMする。「ごめん」。返信に目を疑った。やっぱり僕らは気が合いそうだ。「本当は私、女です」

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どうしよう、と考える。男子と偽りSNSをやってきた。仲良しのフォロワーさんは同じ二十歳の女の子。ある日、彼女がDMを送ってきた。「会いたいです」。考え方も趣味も一緒。だからこそ後ろめたく、腹を括って打ち明ける。本当は私、女なんです……。「嘘でしょ?」。ごめんなさい。「実は僕は男です」

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大学の春休み、帰省先で幼なじみと再会する。お前、相変わらず男っ気ないな。「見る目ないね。夜のお誘い多すぎて、大変なのに」。へえ。そいつらどんな下着だったよ。「え、あんた同様、男子はみんな白でしょう?」。安心したよ、おぼこくて。高校からはやめたんだ。お袋が買ってきたブリーフ履くの。

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あの日、父と出漁し、18歳の弟は帰らなかった。「兄貴がお前を好きらしい。一度話そう」。直前、同級生に手紙を渡してた。「何の話だったのかな」と彼女が呟く。もう求婚を許してくれるだろうか。震災後、弟の部屋で見つけた書きかけの手紙の内容を、僕は彼女に言えてない。「好きだ。誰にも渡さない」

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幼なじみにバレンタインチョコをもらえなかった。結局、高校の後輩たちから義理が5個。もう諦めて、5人の誰かを口説こうか……。お返しを見繕ってもらおうと、スイーツ店に彼女を誘う。うん? 籠に6個入ってるぞ。しかも一つは値が張るやつだ。間違いじゃね? 「ううん。それ私への本命スイーツ」

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高校生の幼なじみにスイーツ店へと連れ出される。バレンタインに義理チョコ5個をもらったらしい。「義理から生まれる恋もある」と彼が言う。あさましくて涙が出る。いいよ、お返し見繕ってあげる。「こんな安いので大丈夫?」。うん平気。「あと、1個多くて高いやつが混ざってる」。それ本命の私用。

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高校に登校すると、彼が彼女と話してた。「やっぱ好かれてないのかな」。私の隣にやってきて、彼がため息つく。半年前、「お前、美人でモテるだろ」と彼女への片想いを相談された。実際、何人かから告白された。でもね、みんな私の中身を見ていない。君だってその一人だよ。もう半年、私は君に片想い。

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