//=time() ?>
ごめんね、10分遅れる――。私のLINEは「既読」になっていなかった。葬儀の後、彼の兄に見せてもらった。1年前、駅前で車が暴走し、彼をなぎ倒したのは送信の直前だ。もしあの時、遅刻していなければ……。「もう自分を責めるな」。本当に許してもらえるだろうか。支えてくれた、兄に優しくキスされる。
「バレンタインが近いから、リア充どもが浮足立ってる!」。文芸部の女友達が悪態つく。でも腐女子のお前は関係なくない? 「失礼ね。これでも華のJKです」。リア充とは絶対合わないと思うんだけど。「だったらどんな男子がいいって言うのよ?」。……例えばさ、同じ部活でチョコが欲しいヲタクとか。
失恋がきっかけで、私は家に引き籠る。体重が40キロを割った頃、支えてくれた姉が事故に遭う。「輸血は無理だよ」。姉は微笑み旅立った。あれから4年。大学近くに献血車が停まってる。採血の看護師さんに「正常値です」と微笑まれた。今度は誰かを助けたいな。血液型がRhマイナスの、姉と私は双生児。
クラスの女子が高校の図書室で唸ってる。3学期の期末試験まで1週間。腐れ縁だし一肌脱ぐか。僕は放課後、彼女に勉強を教え始める。……甘い香りはシャンプーか。こいつ、こんな綺麗な目をしてたっけ。「さすが優等生。すっと頭に入ったよ」。笑う彼女に心で返す。こっちはまるで勉強に身が入らない。
彼の3学期末の試験結果が振るわない。気の置けない高校の同級生。成績上位で、私は今回みっちり事前に教えを受けた。「お前のせいだ」。いや、一緒の勉強持ち掛けてきたのそっちだよ? 「まさかこんな結果になるなんて」。邪魔したのなら謝るけど。「……隣の女子が気になりすぎて何も頭に入らない」
大学入学共通テストでしくじった。2次で挽回すべく僕は徹夜で勉強する。「無理は駄目よ」。いやお袋、頑張るよ。前に親父に聞いたんだ。お袋と私大で出会う前、本命に落っこちて、国立に進んだ彼女に捨てられたって。僕にも親父の元カノみたいな相手がいるんだ。第二志望に「お袋」がいる保証もない。
「やっぱり自分を偽れない」。つきあって1か月、高校の同級生に突然振られた。慰めてくれた後輩に、好きだと言われ交際する。なぜだろう。今日もまた、元カノが僕らを見つめてる。「好きな人」がいるとは聞かされた。ごめん、今度は僕が未練がないよう偽ってる。同性からも人気の後輩に、心で詫びる。
教室から、高校の中庭をぼんやり眺める。元彼が、綺麗な後輩と笑っていた。告白されて交際し、やっぱり自分を偽れないと、私から別れを告げた。胸の痛みは自業自得だ。こんな思いをするのなら、一生気づきたくなかったよ。今でもあなたを好きでいる。後輩を見つめて心で思う。同性の私じゃ駄目ですか?
「正月太り? 全然そうは見えねえぞ」。高校の仲いい男子に真顔で言われた。「気にせず食えよ。最近、色んなチョコが出てるだろ」。ふうん。普段は憎まれ口ばかりのくせに、必死なんだね。やっぱ甘いものは控えよう――。焦る彼に気づかぬふりして心で呟く。大丈夫。本当は準備してます、バレンタイン。
初めてを終えた後、「僕も同じ」と彼が言う。3歳上の大学生。半年前、学園祭に遊びに行き、姉に紹介されたのがきっかけだった。彼と姉とは仲が良く、出会う前、酔った姉から「勢いで最初のキスをあげちゃった」と聞かされたことがある。彼に抱かれて涙ぐむ。大好きなのに、私は全部の最初になれない。