私の中の光と闇を掬うのは
私以上にあなたなのだと思い知る
今あなたの掌にあるのはどちらですか
私には私の闇しか掬えません
私にはあなたの光しか掬えません
いつか
私にもあなたの闇を掬わせてください

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1日が終わり
また
同じ事の繰り返しの1日が終わる
それは私にとって
怠惰なのだろうか
継続なのだろうか
怠惰も続ければ
何かの力になったりするのだろうかと
ちょっと自嘲気味に笑う
きっと今の私には
甘いものが足りない

0 3

空とはどこから
空とはどこまで
私は境界を飛び越える
この肉体だけが
私の境界だというのだろうか
この溢れて止まない想いは
広がる
広がる
空とはどこまで
空とはどこまで

0 1

日差しは気温を上げても
空はまだ霞んで
ぼうっとした青が
雲を薄く引き伸ばし
ああ、どこかで
炭酸が弾けている
私はビー玉のように
この空を固め閉じ込め
散ってゆく夢を
口の中で転がそう
広がるのは
苦味にも似た刺激
そして

0 2

塀の陰にひっそりと咲いている
ムラサキカタバミの反った花びらに
ふと
誰かと交わした大事な約束が
あったのではないかしらと
少し泣きたい郷愁と
少し寂しい優しさがこみ上げる
何だか特別な時間と空間は
案外どこにでも
本当にどこにでもあったりするのだ

0 3

「もーちょっと聞いてよぉ」部屋に入るなり買い出しの缶ビールを開けて、友人が話し始める。給料日前で二人とも余裕がないから今夜は家呑み。だけど、少々懐が寒くても代え難い時間がある。「でさぁ、あ、ナッツちょうだい」偽りのない私達の夜はこれから。ピスタチオの殻を割る。

0 3

まだ遠かった呼び声も
高く鳴り渡るファンファーレとなるだろう
目覚めよ
目覚めよ
花は次々と合唱に加わり
式典の始まりを告げようとしている
目覚めよ
目覚めよ
私は宇宙を抱いて眠るもの
そして
やがて世界を咲かすもの
目覚めよ
目覚めよ
私の世界が目覚め始める

0 2

桜模様のお振袖には
どんな色の帯締めよ
色とりどりの千代紙が
桜のように部屋を舞う
沢山並んだ千代紙人形
和紙の黒髪長く伸び
私も可愛い千代紙人形
貴方の頁に挟まれて
読み返されずに忘れ去られた
哀れな栞の千代紙人形

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クッキーサンドにチョコ、パウンドケーキ、アイス。目の前に山と積まれるラムレーズンのお菓子。確かにお土産に頼んだけれど、こんなに買う? 貴方のドヤ顔が可笑しくて愛しくて。今はウケ狙いに興じる私達だけど、いつかはラムレーズンのような芳醇な夫婦になれ…るといいな。

0 3

私は微睡む
現ではなく
けれど夢に
身を投じもせず
そのあわいで
陽炎のように
望む処を決められず
漂うように
微睡んでいる
春窓の翳り

0 1

季節に温む春の水を思う
静かに
けれど確かに
山川を潤してゆくように
私の心をも満たせ
そして
その身を刺す清冷さで
眠り続けるこの種を
目覚めさせよ

0 3

街なかの桜は葉も出始めて、花の時期も終わろうとしています。そちらでは、まだ雪が降っているそうですね。同じ国に住んでいるのに、何だか不思議な感じです。あ、いま強い風が吹いて、吹雪のように桜の花びらが旅立っていきました。もう少し待っていてください。桜前線北上中!

0 3

桜も葉が出始めて
あとひと月もすれば
イチョウも
クスノキも
若葉の色となって
街を覆い始めるだろう
私が一番好きな季節だ
ああ、待ち遠しい
シフォンのブラウスも
タンスで出番を待っている
ああ、嬉しい
ああ、嬉しい

0 2

回転寿司の隣の席で、如何にも新入社員の若者が、如何にも先輩な女性に一端の口を利いている。ああ、若者よ。いつか赤面しながら今日の日の事を思い出すだろう。そして、その何倍もの月日が流れた時に、今日の思い出が消えかけた火に風を送るかも知れない。君の道をひたすら進め。

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リボンにじゃれる猫みたいに
身体中にリボンを巻きつけて
なんなの?私へのプレゼントなの?
って勘違いしてしまうんだよ
君にはそんなつもりは全くないよね
だからタチが悪いんだ
わかっているのに
君から目が離せないよ
ほらまた思わせぶりに
罪なリボンにじゃれるんだ
私の前で

0 3

ぽかぽか陽気に一気に綻んだ花を
春の風は容赦なく散らしてゆく
今年限りの今年の花は
労わるように優しくて
失ったものも沢山あったけれど
歩き続けるしかない諦念に
柔らかな温度を与えてくれる
平成の終わりに
そっと背中を押される
熊本の春

1 5

横でハラハラするくらい
好き嫌いがハッキリしていて
そのくせ人と仲良くなるのが早くて上手で
強いように思われるけど
実は涙脆くて感受性豊かで
貴女は私の怒ったところ見たことないって
おっとり真面目ちゃんだよね
でも実はって笑う
貴女が友達でいてくれて本当に嬉しい

0 2

さあさあ起きて
クスノキの新芽
もう4月がやってきた
まだまだ起きない
お寝坊さんを
兄さん姉さん笑ってる
お日様の光たくさん食べて
その赤い色を濃い緑に
早く変えなきゃいけないよって
お日様も笑ってる
私も待っているからね

0 0

コーヒーの香り
トーストも焼きあがって
小さな幸せって
こんな事を言うのだなって
甘酸っぱいブルーベリージャムを
たっぷりと塗る
今日は久しぶりに早起きしたから
服を選ぶのも余裕だったし
お化粧も念入りに
ちょっぴり早くなった春の朝
とびきりの笑顔で
あなたに会えそう

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枯れ始めてなお
その鮮やかな色を残す
艶かしさを
美しいというのならば
哀しさを
醜さを
内包して
私も
あなたも
この世の全ては
美しいのだろう
枯れ始めてなお

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