# tanka

猫ならば会いにゆくのは容易い
塀を伝って、屋根から屋根へと
あなたに会いにゆける

想いを奏でるのは容易い
弦を弾く指は迷わずに
心を伝って、次から次へと
あなたを追いかけてゆける

けれどもわたくしは
あなたを前にして
猫のように
琵琶のように
きっと素直には なれない

絵:甲斐千鶴

8 42

ねや浸す
色水のごと冬日に髪はひかりて
六欲のなか

絵:甲斐千鶴
①冬日 ②折句「ねいろ」

3 16

冬に枯れ葉が散るように

貴方の愛も舞い落ちてしまったのでしょうか

切なさを奏でましょう
この悲しみが届くように

祈りを奏でましょう
私の想いが届くように

再び暖かな日差しのもとで
二人で愛を奏でられたら

①冬日

絵:甲斐千鶴

2 7

ねえ逢いたい…でも逢えない…
愛し君への想いが揺れる
蝋燭の陽炎のように

②折句 ねいろ

絵:甲斐千鶴

1 5

或る冬日
和らぐ陽射しに
這ふ這ふと
貴殿にとどむり
弾き給へるに

寧音と呼ばれるあの日から
幾とせひそめ過ごしたか
ロマンをのぞめば人あらず

琵琶の化身と
なるべきことにて

絵:甲斐千鶴

3 14

  絵 甲斐千鶴
あなたと出逢った
あの日の日記に
わたくしは一文字も
記していない

ただ一度の
名前のない冬の日
恋は咲いて
まばたきの間に散った

想いに涙あふれ
白い息の花をおさえた
あの時の袖は
雪色の絹
涙は氷の結晶
指は想い綴る筆を忘れ
冷えた心の絃を弾く

4 34

寝待ち月如何ならんとて緑青の 音色掻き立て琵琶の月

絵:甲斐千鶴

5 19

ねすがたもみせずいつかにさりし君 蝋梅そめる琵琶のほのをに

絵:甲斐千鶴

3 13

絃をやさしくはじく度
大切な想い出を
雪の下に隠していく

ひとつ、また、ひとつ。

いつか
春になって
雪が溶けたら
美しい思い出として
愛せるように

今はまだ
琵琶の調べを子守唄に
白の深くに眠らせておく

絵:甲斐千鶴

9 64

ねえさん お稽古 お疲れ様です
いつのまにかに
ロッシーニの曲を覚えたのですか?

②折句「ねいろ」

絵:甲斐千鶴

1 23

寝間の朝陽はあなたの眼差し
愛おしき空の広さはあなたの背中
ろうそくの花を散らして数える月日

ねんねんころりと
幾つも夜を寝かしつけ
露(ろ)に耐えかねて花も泣く朝

ねえ、あなた
いまは何を思っているの
蝋梅の蕾を三つ見つけて尋ねる

絵:甲斐千鶴

2 28

御簾から差し込む弓張月へと
調べをひとつ 載せていきます

遠く離れた彼の場所へ
私の指で掻き鳴らす

祈りは
今宵も届かずとも

光は
今宵 消え失せようとも

遠く遠い 彼の場所へ

凍え冴えた夜に夜毎に放つ
私のこの音は消えはしない

「冬日」
絵:甲斐千鶴

2 17

①冬日②折句「ねいろ」

ねがわくは冬日の中を
いつまでも
朗々と鳴る琵琶になりたし

絵:甲斐千鶴

5 19

  絵 甲斐千鶴
冬の日の凍えが
それ迄の季節を
白く変えるほど
この想いは
月より透けて尚うつくしく
足蹴にされると
薄氷よりも儚く

わたくしは強くない

ふみに込めた想いを
水に流されるくらいなら
琵琶の音に綴り
とける雪のように
誰の目にも触れない
うたにいたします

2 44


絵 甲斐千鶴

熱情にひかる言の葉

いろは白

蝋石えがくとこしえの雪

3 24

泪は凍り
手は悴む
そんな朝
あなたからいただいた琵琶を擁きますと
うしろから抱きしめられているような
暖かみを感じるのです

絵:甲斐千鶴

3 15


②〈 折句 〉ねいろ

値踏みせぬ
慈しみの陽
ロルカ読む

ねぶみせぬ いつくしみのひ ロルカよむ
ロルカ詩集 小海永二 訳

絵:甲斐千鶴

6 18

《イラストにあう創作募集》
詩歌でも言葉でもお話でも
テーマ①「冬日」②折句「ねいろ」(文頭の文字が順に、ね、い、ろであれば、ひとつの作品でも、三つの独立したものでも良い)
2ツイート内で
11/12(日)まで

絵:甲斐千鶴
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雨…降ってる…

買い物行けないな
夕ご飯どうしよう…
冷蔵庫にあるものでいいかな

庭仕事できないな
草取りどうしよう…
家庭菜園の恵みの雨になるかな

今は退屈
さて何しよう…
雨音をBGMにして詩を書こうかな

絵・甲斐千鶴 

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