寝待ち月如何ならんとて緑青の 音色掻き立て琵琶の月

絵:甲斐千鶴

5 19

ねすがたもみせずいつかにさりし君 蝋梅そめる琵琶のほのをに

絵:甲斐千鶴

3 13

絃をやさしくはじく度
大切な想い出を
雪の下に隠していく

ひとつ、また、ひとつ。

いつか
春になって
雪が溶けたら
美しい思い出として
愛せるように

今はまだ
琵琶の調べを子守唄に
白の深くに眠らせておく

絵:甲斐千鶴

9 64

ねえさん お稽古 お疲れ様です
いつのまにかに
ロッシーニの曲を覚えたのですか?

②折句「ねいろ」

絵:甲斐千鶴

1 23

寝間の朝陽はあなたの眼差し
愛おしき空の広さはあなたの背中
ろうそくの花を散らして数える月日

ねんねんころりと
幾つも夜を寝かしつけ
露(ろ)に耐えかねて花も泣く朝

ねえ、あなた
いまは何を思っているの
蝋梅の蕾を三つ見つけて尋ねる

絵:甲斐千鶴

2 28

御簾から差し込む弓張月へと
調べをひとつ 載せていきます

遠く離れた彼の場所へ
私の指で掻き鳴らす

祈りは
今宵も届かずとも

光は
今宵 消え失せようとも

遠く遠い 彼の場所へ

凍え冴えた夜に夜毎に放つ
私のこの音は消えはしない

「冬日」
絵:甲斐千鶴

2 17

①冬日②折句「ねいろ」

ねがわくは冬日の中を
いつまでも
朗々と鳴る琵琶になりたし

絵:甲斐千鶴

5 19

  絵 甲斐千鶴
冬の日の凍えが
それ迄の季節を
白く変えるほど
この想いは
月より透けて尚うつくしく
足蹴にされると
薄氷よりも儚く

わたくしは強くない

ふみに込めた想いを
水に流されるくらいなら
琵琶の音に綴り
とける雪のように
誰の目にも触れない
うたにいたします

2 44


絵 甲斐千鶴

熱情にひかる言の葉

いろは白

蝋石えがくとこしえの雪

3 24

泪は凍り
手は悴む
そんな朝
あなたからいただいた琵琶を擁きますと
うしろから抱きしめられているような
暖かみを感じるのです

絵:甲斐千鶴

3 15


②〈 折句 〉ねいろ

値踏みせぬ
慈しみの陽
ロルカ読む

ねぶみせぬ いつくしみのひ ロルカよむ
ロルカ詩集 小海永二 訳

絵:甲斐千鶴

6 18

《イラストにあう創作募集》
詩歌でも言葉でもお話でも
テーマ①「冬日」②折句「ねいろ」(文頭の文字が順に、ね、い、ろであれば、ひとつの作品でも、三つの独立したものでも良い)
2ツイート内で
11/12(日)まで

絵:甲斐千鶴
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40 81

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21 35

雨…降ってる…

買い物行けないな
夕ご飯どうしよう…
冷蔵庫にあるものでいいかな

庭仕事できないな
草取りどうしよう…
家庭菜園の恵みの雨になるかな

今は退屈
さて何しよう…
雨音をBGMにして詩を書こうかな

絵・甲斐千鶴 

1 2

窓の外
雨と遊び はしゃぐ子供達の声

いつからだろう
雨に濡れるのを避けだしたのは
いつからだろう
無邪気にふるまえなくなったのは
いつからだろう
傷つく事を恐れ
素直になれなくなったのは

外に出てみようか
この雨に濡れたなら
何かが変わるかもしれない

絵・甲斐千鶴 

2 5

季節の逃げ水の
六月の
深まる緑の
硝子体の
はるかの先から
なで肩の暦に
丸印として帰れ

ああ誕生日なんだね
どう祝いましょうかと
独りごちてみるが
思考というシステムの
振り出しを目指して
巡る逃げ水であれ
また 約束されない明日に
音もなくけぶれ


絵・甲斐千鶴

6 28

雨ふってるのんいややわあ
どうにかして好きになられへんやろか?
そういえばいつかどこかの詩人が
「雨もまた ぼくたちを祝福している」
ってゆうてたけど
あの人は
傘さしてあるかへんのやろか?
恋人になったらぬれっぱなしやろか?

 絵・甲斐千鶴

3 4

すごく眩しいわ
でも前を見る事は止められないの

あの先に
私が見ていないものが
私に見えていないものが
あるかもしれない

あなたが見えるかもしれないし
見えないかもしれない

それは怖くもあるけれど
それでも前を見続けるわ
それが私だと思うから


絵・甲斐千鶴

2 23

カーテンを開ける夢またみた昨日晴れた窓辺の無傷な私

絵・甲斐千鶴  

2 10

毎日同じ時刻に
窓の外を通るあの人
声もかけられず
見つめているだけ

降り注ぐ雨
今日は来る?来ない?
片思いの苦しさ
会いたい?会いたくない?
揺れる心は紫陽花ブルー

でもきっと
この雨が止んだなら
彼の笑顔を見る事ができたなら
私の心はスカイブルー

絵・甲斐千鶴 

2 5