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固唾をのんで見守る康太。もはや、自分をなじる井家表の言葉さえどうでもいい。一刻も早く、涼音が解放される事を願う。でないと、でないと…
焦るが何もできない画面の向こう側、いや過去の映像。康太は無力感に苛まれていた。こんな行為を受けて涼音が変わってしまうことが怖い…こわい
視聴を始めて一時間三十分……康太ならば前●も含めてとっくに全部が終わっている所だが、映像の中の雄はいまだに一回も射精をしていない。反対に涼音の方はそれと分かるだけでもう10回はイっていた。康太は涙を流しながら、しかしそんな妻と他の雄の交尾から目を離すことができなかった。
次いで映し出されるのは涼音の井家表を「後ろから」とらえた映像。それにより僅かばかりの希望は余さず絶望へと塗り替わる。入っていた
自分の物ではない男●器が自分の愛しい妻の生●器に残さず収まっていた。想像だからこそ、いままでどこかでなんとかなると思っていたそれが現実になってしまった。
やがて画面の中の涼音が何かに耐えるように苦悶の表情を浮かべる。軋むベット、揺れる胸、わずかな水音…涼音と長年夫婦としてやってきた康太にはもうすでに「何が行われているか」がわかっていた。
だが、心の準備はまだできていなかった。早すぎる。まだ、その時が訪れないでくれと願う
と、そこで場面が切り替わる。ベットのような場所に寝かされた涼音のドアップが映し出されるが今度は画面の中に井家表の姿がない。(声はするのだが――
はぁはぁと息をつき、不敵な笑みを浮かべる涼音と何かの了承を得る井家表の声…(前●無しで構わないとは…?
そんな風に康太一瞬惚けていた間に自体は次のステップに移行する。井家表が涼音にキスを求めた。しかし、涼音はそれをすぐに切って捨てた。
曰く「子作り関係ないことは一切するつもりはない」
もし、無理強いでもしようものならセク●ラ、痴漢で訴えると
そんな涼音の視線を満足そうに堪能する男。そして、さきほど涼音に言われたセリフをそっくりそのまま返してやると、ようやく気が付いた涼音は視線を外す。
口では否定の言葉を告げるものの、画面を見ていた康太にはわかってしまう。涼音は確かにあの一瞬だけ、井家表を異性として意識していたのだと…
たまらず、涼音の方も井家表に脱ぐように促す。「早く脱いでさっさと終わらせて」その言葉に画面の中の井家表はにやりと笑う。そして、涼音の口から井家表との行為を早く望む言葉(もちろんそんな意味ではないと頭ではわかっているのだが)を聞くと、康太は軽くうめき声をあげる…。
やがて一糸まとわぬ姿になる涼音。
それは張りのある、豊かなバストを持った身体だった。さすがの井家表はこれには鼻息を荒くし、(全く遠慮せずに)まじまじとその身体を見聞した。
いままで康太にしか見せたことのない裸体…それが、じっくりと解きほぐされていく様は言いようのない不快感を伴った。
康太はどこかホッとする。これならば案外、この後行われる「子作り」自体も「作業のような淡々としたもの」で終わるのではないかと期待した。
映像の中の涼音は井家表の指示に従って服を脱いでいくが、いつも康太に見せているように相手を楽しませたりしない。嫌そうな顔で作業をこなすように脱いでく
映像はどこかの一室から始まる。そこに涼音と井家表がいた。男が涼音の背後から距離を詰めており、その密着度が高まっている。しかし、二人はこれから子作りするというのに、甘い空気が全くない。相変わらず、井家表は空気の読めない発言をしており、その事に対してあからさまな嫌悪を示すのが涼音だ。
二週間後……夫婦は以前と同じような生活をほぼ取り戻していた。(というよりも二人が意識してそういう風に振る舞っていたというのが正しいか…?)
涼音が帰って来てから「あの一週間」について話題に上ったことはない。このままなぁなぁのまま忘れていけるのではと二人は期待していた…
気が付けば、彼の愛おしい妻は玄関に立っていた。
涼音はきちんと帰ってきた、康太の元に。
その事実に他の余計な雑念はすべて消えた。
そして溢れる喜び。康太は自分の妻に縋り付き、その名前を呼びながらただただ泣いた。子供のように…
10日後…「あの日」を迎えた康太と涼音の前に上機嫌な井家表が再び現れた。今日から一週間、涼音は国が管理するという施設で井家表と暮らすことになる
目的は言わずもがな、「子作り」をする為だ
緊張と不安な夫婦をよそに、井家表のテンションは異様に高い。(から回っている事にも気が付いていない
信じられない様子の康太に、涼音は努めて冷静にこの法案のメリットについて語った。彼女なりにもう逃げることはできないと思っていたのだろう。
だったら、「これをチャンスととらえて、前向きに二人の将来を考えた方がいい」と涼音はいった。
そして、その為に色々調べて、覚悟もしてきたと…
さらに、夫婦にとっての災難は続く。
数日後、黒山夫妻の元を訪れてきた「涼音の遺伝子提供パートナー」=「特派員」は彼らのよく知る人物。高校時代、よく涼音にちょっかいをかけてきていた学校でも有名なヤリ●んだった「井家表良太(いけおもてりょうた)」なのであった。
そんな事があったからこそ、今でも二人は夫婦として暮らしている。子供はあくまで授かりもの、もしできなくても二人が別れる理由にはならない。
康太の中には今も自分に対する否定的な気持ちが少しあるが涼音の明るさがいつも支えてくれた。
それゆえに最近は何か上手く行っているように感じていた。
まだ若い彼女は他の男とやり直しがきく。(幸い彼女は引く手あまたの美人だ。×が一つ付いたところで問題ないだろう)そんな考え口にしたこともあった。
しかし、その事に関して涼音はこう答えた。
「離婚なんて絶対、嫌。例え二人の赤ちゃんができなくてもこー君と一緒に生きる未来がいい!」と
いまから7年前(結婚から3年後)、不妊に悩んだ涼音と共に訪れた病院で、その原因が「康太の方にあった」ことが分かる。二人の間に子供ができないのは彼の生来の体質(遺伝的か、後天的かはわからないが)により元々の精●量が普通の一般男性より極端に少ないためだと発覚した。
二人の間にある重要な問題…それは「子供がいない事」であった。
この10年、決して避妊を繰り返していたわけではない。むしろ、涼音が子供好きな事もあって積極的に二人は「子作り」を行っていた。しかし…二人の間に子供ができることはなかった。