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「あの」谷宇雪は今野円たちに声をかけたが声が小さくて気づかれない。雪は大きな声で「あの」ともう一度言った。円が振り返ったので雪は続けて言った。「猫が顔を洗うのは湿気を感じてだから、雨が降る可能性があるともいいますね」 #えんすけっ!
「スガリンのそのテーマだとぉ、書く方も読む方もゲップが出そうだねぇ」今野円は興奮して拳をブンブンした。「そんなことないよー」牧田スガはどこから取り出したのかアイスを口に運んだ。「読む方だけだな」口井章は一人納得した。 #えんすけっ!
「食べられそうとか美味しそうとかじゃなく、食べられた実績や正体が食べられそうな話を集めてるんだよ」牧田スガが今野円に熱弁をふるう横で、口井章は笑を堪えるのに苦心していた。子泣き婆=美味しそう発言がツボに入ったからだ。 #えんすけっ!
「食べられる妖怪ってぇ」牧田スガの突飛な発想に今野円は目をぱちくりさせた。「定例会の発表題材を『食べ物と妖怪』にしたんだよー。やだなー」子泣き婆と言った時にスガが小さく美味しそうと言ったのを口井章は聞き逃さなかった。 #えんすけっ!
「ええ、お父様の新年会で」柳田先輩はクスッと笑った。「ああっ!」今野英斗が突然大きな声を上げたので柳田先輩は驚いた。「どうなさいましたの?」「失礼。この子と会ったのもあの時でした」英斗の視線の先にはリムジンがあった。 #えんすけっ!
柳田先輩は車から降りると真っ白な日傘をさした。「あ〜柳田さんのところの」今野円があたふたしている横で今野英斗は一人納得の表情をした。「髪が整わないよぉ」髪の毛と格闘する円の焦りをよそに無情にもインターフォンが鳴った。 #えんすけっ!
「朝からイモホリボンなんか飲んで! 絶対日野に怒られるよ」今野円が缶を両手に持って飲んでいるので口井章が注意した。「スガリンもいつも何か食べてるよぉ」「この娘は特別」牧田スガの手にあったスフレが一瞬でなくなっていた。 #えんすけっ!
「千葉に帰るって言ってなかったか?」「え? これから大阪だよ」勝田さくらの問いかけに宮本つなはキョトンとしている。「またかよ! ほんとっ妹泣かせだな」宮本けいが今野円につなが帰ってくると話していた一週間後の話である。 #えんすけっ!
「おみそ汁にこだわる必要はないと思う」今まで黙っていた牧田スガが口を開いた。「えぇ〜みそ汁って言われたよぉ」「大丈夫だよ〜血で赤出汁だよ」「スガリン、あんた可愛い顔してとんでもないこと言うな」口井章は横で眉を顰めた。 #えんすけっ!
「あっ偲先輩」「あっ牧田さんまた試食頼むね」「スガリンよくわかったねぇ〜まどか何回見てもわからないよぉ」牧田スガと武田偲の会話を見て、今野円は感心している。「偲先輩はうどんの匂いがする」「えぇ〜もっとわからないよぉ」 #えんすけっ!
「みんなぁ注目ぅ」今野円は鞄に着いているストラップを指差した。「昨日からつけてるね。それ」牧田スガが言った。「スガリン気付いてるなら言ってよぉ。やまわろだょ」スガはうぅーんと唸るとよく冷えてそうなスフレを口に運んだ。 #えんすけっ!
「なに飲んでるの?」牧田スガはI-836を興味深そうに見ている。「テンプラアブラデス」「はっちゃんのエネルギーだよぉ」「へぇ。聞いてるだけで胸焼けしそうだね」と言いながらスガはいつ取り出したのか焼き菓子を食べていた。 #えんすけっ!
「まどかちゃんがノブスマ系って言う度にお腹が空くんだ」牧田スガは真剣な顔をして今野円に言った。「えぇ〜スガリン何言ってるのぉ〜」「タタイテ ザットユデタ コトリト タイヲ アワビニ ツツムヨウニシテニタ リョウリ」#えんすけっ!