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最後には、「杏奈が正人に告白するのを応援するような発言」「その上で、自分も杏奈を諦めない!」といった盛生の不器用さと、いつでも本気な姿勢に、杏奈はどこか毒気が抜かれたようだった。
こんなバカがいるんだから、私ももう一度、頑張ってもいいのかもしれない…そんな気持ちに自然となれたのだ
他の誰でも、そこまで本気にはなっていなかった。
皮肉だが、「杏奈とエロいことをしたいから頑張れた」というのは、まじりっけなしの真実だったろう。
そんな盛生が情熱を一心に注いでまで執着する杏奈に価値がないはずがない。だから卑屈になる必要もない。堂々と、正人が好きといえばいいと。
盛生は理解した。杏奈は正人が好きだ。だが同じくらい、彼に嫌われることを恐れているのだと…。
そんな彼女が出したのが、現状維持という答えなのだと。だから、二人は仲がいいように見えるけど、付き合ってはいないという関係を続けているのだと。
そんな一生分の勇気を振り絞ってした告白に対して、正人がした返答はこのようなものだった。
「え?いまなんていった?」
「よく聞こえなかった」
「もっかい言ってくれる?」
ぽつぽつと杏奈が語ったのは、「正人への想い」であった。中学で好意を自覚して、遠巻きに何度もアピールしたが気付いてもらえず…このままではダメだと一念発起し、高校入学から数日後、勘違いしようのない言葉でもって告白をした。
その結果、フラれてもいいと覚悟を決めて…!
杏奈のそんな自信の無さそうな態度が盛生には引っかかった。彼女の性格なら、いまのを見て黙っているだろうか?いや…もっと言うとだ。
なんで杏奈は正人と付き合ってないのだ?仲の良さそうな二人で、さらに杏奈は正人にどうやら好意を持ってる。だが、二人は今も付き合っている様子はない。
正人がなんとなくモテそうなのを知っていた盛生ですら、いまの一連の流れはインパクトのある光景だったのだ。杏奈はこのことを知っていたのかと彼女の表情を伺う。
やはりというかなんというか…杏奈はどこか微妙な、影のある表情でそれを見送っていた。
それは先に帰宅したはずの正人であった。正人の両脇には学校でも可愛いと有名な(それこそ、杏奈並みに)女子生徒の姿がある。そんな三人が、通学路を和気あいあいと歩いて行った。
急な事で驚いたのか、正人は何とも歯切れの悪い返答をしていたが、しっかり問い詰めると最終的には「えっと…好きにすれば…?」というような答えが返ってきた。どうとでも受け取れる言葉…しかし、その言葉で盛生は確信した。
ここで安心してはいけない。もしかしたら、恥ずかしがって本心を隠しているかもしれない。
そう思った盛生は更に深くに切り込む。
「じゃあさ、俺、杏奈に告白してもいいか?」
少し恥ずかしかったが、それもこれも誤解を生まない為。ここで誤解を生めば後々、正人に恨まれる可能性があるからだ。
さっそく、盛生は正人に探りを入れる。
とはいっても、彼はそこまで頭がいいというわけでもないので直球で「二人は付き合っているのか?」ということから切り出してみた。
それに対する正人の反応は「付き合ってない。ただの幼馴染だ」というもの。
確かに杏奈は盛生にとって「何よりも手にしたい存在」であった。しかし、もし杏奈と正人が互いに「両想い」であった場合、盛生はそこに横恋慕したことになる。
彼はそれを避けたかった、なぜなら盛生は自他ともに認める「純愛派」であったからだ(NTRとかBSSとか無理)
それが彼…蟹江正人(かにえまさと)の存在。
正人は盛生にとって「親しい友人」であり、同時に「杏奈にとっても身近な異性(幼馴染)」であった。
二人の仲は傍から見れば、友達以上、恋人未満でありそんな二人が「本当にはどういった関係なのか?」が盛生にとっては重要な事だった。