扉の隙間から「ソレ」を眺めて、彼は一人涙を流した。彼の幼馴染は、もう他の男のモノだと悟って…

               side蟹江正人END

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途端、壁がドンと大きな音を立てて、思わずびくりと肩を震わせる正人。「見ているのがバレた…!?」と内心びくびく、頭の中がぐちゃくちゃで混乱している。恐怖と言ってもいい感情に支配される。

だが、断罪の時はいつまで経ってもやってこない。
代りに、ぱちりと電気のスイッチをつける音がした。

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杏奈のいつもの癖なのか(完全に扉を閉めるのが苦手)、僅かに空いた扉から少し見える部屋は電気もついていないように見える。

しかし、家にいることは玄関の靴で把握している。
ひょっとして寝ている…?

正人はわずかな背徳感と、これから告白する事に対して気持ちが高ぶっていた。

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気が付くと、正人は目の前で満面の笑みを浮かべていた男の横面におもいっきり固く握った拳をぶつけていた。

そして、そのままその場から何も言わずに逃げ出した。

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そんな正人の表情から何をくみ取ったのか?盛生はものすごく「邪気のない笑み」でこういった。

「あ~、それもこれも正人が応援してくれたおかげだな!ありがとな!」
「俺たち!めっちゃ幸せになるから!」

…応援した?誰が?
……幸せになる?誰と誰が?

その言葉に正人は頭が真っ白になる。

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「いや~だからさ~!やっと杏奈からオーケーもらえたんだよ!」

それは「盛生と杏奈と付き合う事になった」という報告であった。正人は思わず信じられないモノを見る目で盛生を凝視した。彼の中でそれは一番あり得ない事だったのだ。

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そして、現在

…あれから半年ほど経つが盛生と杏奈がうまく行っている様子はまったくないように思えた。
にもかかわらず、無駄に前向きな盛生を見て正人は彼を内心、哀れに思っていた。

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その結果、盛生はこういった。

「じゃあ、俺、杏奈に告白してもいい?」と。

まさか、自分の友人からそのようなことを聞かされる事になるとは思わなかった正人は驚いた。

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正人と盛生が友達になってから少し経った頃…盛生の口から「杏奈と正人は付き合っているのか?」と直接聞かれたことがあった。

正人はいつもの事(杏奈は告白されることがよくあり、その過程でそういったことを他の男子に聞かれることがあった)として、それを否定した。

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というのも、盛生は「杏奈の事が好き」なのだ。
彼にとって、杏奈に話かけられるのはそれがどういった類に感情でも嬉しいに違いなかった。(むしろ、常にプラスに捕らえている節さえある。)

そんな友人の姿を見て、正人は少し前の事を思い出す。

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当然、そんな盛生に対して、幼馴染の杏奈の態度も他の女子たちと同じように正人には見えた。
…いやむしろ、あからさまに嫌悪を示しているようにさえ見えた。

盛生はそんな事に気づいていないのか、声を掛けられて嬉しそうに杏奈に接している。

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その「闖入者」の名前は猿坂盛生(さるざかもりお)

正人にとって高●で初めて出来た友達であり、TPOを弁えず常に飛び出す下ネタ発言とあふれる性欲に忠実な、そんな女子全般から煙たがられている存在。

通称「性欲魔人、性欲猿」

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幼い頃にはそれこそ、「大きくなったら結婚しようね」とべたべたな約束を交わす程度には、The幼馴染であったが、正人にとって彼女はまるで「同じ年の姉や妹、あるいは家族」と言ったような関係であり、そこには恋愛感情など皆無なのであった。

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蟹江正人(かにえまさと)には可愛くてスタイル抜群だが性格に少し難がある幼馴染がいた。一ノ瀬杏奈(いちのせあんな)、彼女とは家が隣同士で、これまで小、中、高とずっと同じクラスの…いわゆる腐れ縁であった。

(正人にとって彼女はまるでギャルゲのヒロインのような存在である)

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はるなAfter終わりました。
Afterだからあんまり語る所も無いんだけど、正人との闘いが詳しく語られてたからちょっと嬉しかった。
次はいよいよ沙希Afterです、楽しみですね。

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