きゃーと悲鳴をあげて牧田スガは口井章の後ろに隠れて肩を震わせている。「スガリン、どうしたのぉ」今野円が心配そうに声をかけた。スガは真っ青な顔で地面を指差して「く…蜘蛛」と言うと同時にそれをI-836がパンっと潰した。

4 2

「寒くなってきたねぇ」「紅葉狩りの季節ももうすぐだね」「また行きたいねぇ。スガリンも行くぅ?」今野円と口井章がそんな会話をしている隣で牧田スガはパンをもぐもぐと食べながら「紅葉狩りは食べられないからいいや」と答えた。

5 4

「スガリン何食べてるのぉ?」牧田スガが鞄からパンを取り出して頬張るのを今野円は見逃さなかった。「はほひはんのはんあお」「ぬらりひょん?」殆ど聞き取れない。スガはごくんと飲み込むと「ナポリタンのパンだよ」と言い直した。

5 4

「ビシャが憑くぅ〜♪」と歌っている今野円は青い。一緒に歩いている牧田スガはお茶のような緑だ。「スガリン、そのあまがっぱ可愛いね」スガはニコっと笑顔で「これ、チャブクロの新作」と言った。胸もとには白い目が描かれていた。

3 3

「あつい〜」と言いながら牧田スガはアイスを咥えて出てきた。「スガリン、それぇ」今野円は素っ頓狂な声をあげた。「アイスだよ」いやそれはわかるけど。すぐに食べ終わって名残惜しそうに棒を咥えていたら日野寿に呼び止められた。

4 2

「まどか、それ食べないの?」牧田スガは今野円の皿の海老フライを指差した。「まどか海老フライ好きだから取っておいたんだょ。スガリンにはあげないよぉ」眉毛をハの字にして円は言った。「ちぇーっ! 好きなの先に食べないんだ」

4 1

「あれぇ、オットー先輩?」鎌倉音東は書架をじっと見て本を一冊取り出すと隣の棚に移した。「さっきの本だけ棚が違ってたから」確かに管理番号が違う。「まどかちゃんも読んだ本は元の場所にね」と言って音東はまた書架を見回した。

4 4

「児泣き婆はカボチャだから食べられる」牧田スガは一口チョコを口に頬張りながらブツブツ言っている。「スガリン、どうしたのぉ?」今野円が聞くと「食べられる妖怪について考えてたの」と答えてスガはもう一つチョコを口に入れた。

6 1

「まどかの話、ちょっとうす気味悪かったからね」牧田スガはナポリタンを啜りながら言った。「そんなことないよぉ。あきちゅわぁん、そんなことないよねぇ」今野円はすがるように口井章に泣きついた。「あぁ。まどか、きもいからね」

5 1

「スガリン、聞いてるのぉ?」「うーん聞いてるよっ」と言いながら牧田スガは今野円の手元のサンドウィッチに釘付けだ。スガが頼んだナポリタンの皿は既に平らげられている。「まどかのだよぉ」と言うと円はスガの視線を手で遮った。

6 3

「あっ!」今野円は書架をチラチラ見ていると知った顔と目があった。「あっ!」吉川観保も同じ反応を返した。「調べもの?」と観保が聞くと円はビクッとして「宿題しにぃ」と言って本を後ろに隠した。本には船橋市史と書いてあった。

4 2

今日も唐突に始まった。「痛絵馬ってさぁ」「あのアニメとかの絵を気合い入れて描いた絵馬ね」今野円の振りに応えてしまう口井章がいる。「あんな風に妖怪描いたら楽しいよねぇ」神様に妖怪? って以前に「あんた絵下手じゃん」

6 2

日野寿は狼狽えた。「吉川先輩、勘弁してくださいよ」鉛筆を構えて吉川観保は「絵に描いたような風紀委員って感じで良いね。うちのことはいないもんだと思っていつも通りに」と言った。いつも通りだと注意しなきゃいけないんですが…

3 3