ある人間の子供は狐に育てられていたという。正体の知れるその時まで白狐は大事に彼を育てたという。のちに子は陰陽道や天文学を学んだ。そう、彼女の名は葛の葉。今では世間話の好きなおばさんだ。どこかで暮らす息子をいつでも想っている。

8 61


夜行さんの娘。首切れ馬に乗り現れるが、目の前で立ち止まったり横切る者には蹴り飛ばしたり踏みつけたりと容赦がない。高飛車でわがままな性格だが、それでも慕いたくなる渦潮のような、吸い込まれそうな魅力がある。

15 117

 猪口暮露 酒を飲む器は陶器からガラスや缶へ。口にする器は時代によって変わっていった。彼もまたその時代の流れに揉まれた物の怪の一つ。

9 60

烏天狗 名を迦楼羅。山を飛び回っているが迷子の子供を見つけると抱えて空を飛び家や親を探す。子供が帰りたくないと言えば里に置き、術を教えるなどしながら育てている面倒見の良い鶏顔のおじさん。いわゆる神隠しは大半このようにして起きているのかもしれない。

9 59

 鶴女房 罠にかかり助けられた老人の元へ鶴が恩返しの為にやってくる。決して覗かないという約束は破られ鶴は空へ消えていく、それが鶴の恩返しであった、この話の掟であった。だが、老人は約束通り戸を覗かなかった。互い、一人は寂しかろうと、今度は鶴自身が掟を破ったのだった。

112 438

 温羅の息子。鬼譲りの怪力と悪を喰らうスイトンの性質をもつ正義漢。自分の生まれと性に悩まされることもあるが彼なりに克服しようとしている。小さな体だが真面目で一生懸命。

8 61

 雪女の娘。彼女は雪の降りそうな日や、多く積もった夜に車を走らせようとする者の前に現れ「スタッドレスか」と尋ねてくる。そうであろうとなかろうと、気づけば自宅の駐車場や車庫に戻されている。彼女が入る風呂はどうしてか冷めるのが早い。

9 89

 トモカヅキの娘 トモカヅキは本来海の妖怪だが、この時の怪異の正体は貂。貂は助けられた恩を海で真珠と共に返そうとしたが、彼女は貂をトモカヅキと勘違いし恐れた。魔除けのドーマンセーマンも効かずいつまでも恩が返したいと付き纏う貂を恐れている。ちな忍者の子孫

12 85

 シイ 各地に伝承があり、地域によってその姿も異なっている。

1 58

瀬戸大将 物置や押入れの奥にしまわれ忘れられた骨董や食器たちは台所の食器共を破壊すれば自分達が使われると思っている。人より硬く人より脆い彼らの体は金継ぎだらけ。この闘いは体を粉々にされるまで終わらないだろう。

15 62

月下老人 縁結びの神様。人との不思議な縁が好きで、彼女は出会いの機会を与えてくれる。彼女の赤い糸は人二人の小指に結べばたちまち恋仲に。しかし最近はカミダノミの人間が増えてしまったことに悩んでいる。恋とは自分の力で成就させるものではなかったのだろうか?

5 49

 大天狗 育児放棄されている子供を攫って妖怪の世界で保護している。

3 27

迷わし神 迷い家に住む3つ子。年頃の子供の前に現れる。歩ませ、忠告をし、引き止め、人を迷わせる。前も後ろもわからない暗闇を進むのは勇気のいることだが、彼女たちは道を照らしてくれる。どの道を進むのかは君が決めることだ。ひかれないように気をつけて。

15 105

 アマビエ 豊作や疫病の予言をする。彼女はファッションの流行に敏感である。

5 70

 ぬりかべ 真っ黒なぬりかべにはこどもがいた。天使のような寝顔。

3 58

 おとろし 鳥居から落ちて悪戯者を踏んづける妖怪。最近オシャレに目覚めた。

2 41

 八尺様 彼女は惚れっぽい。ある日異国の紳士と出会った。二人して大きいので二人して天井によく頭を打つ。

112 589

 メリーさん 持ち主の少女を探している人形。20年近く経っている今も探している。変なお兄さんがついてくるようになったが別に気にしていない。彼からたまにスマホを借りたりしている。そして彼も「長身」の友達を探しているらしい。

16 98

太歳 地中を蠢く醜い肉の塊。これは生物なのか、人の罪の成れ果てか、それは誰にも分からない。地上に這い出たとき生物を取り込みながら行く宛てもなく移動する。切れば切っただけ修復を繰り返し増殖する。水分を多く含む肉のため火に弱い。

2 31