「まどか、あぶないっ!」と口井章が発声するより早く吉川観保は自然に身体を反らせてぶつかりそうな今野円を避けた。手にはスケッチブックを片手にペンで紅葉を捉えている。それも自然に人を避けて歩きながらなので章は唖然とした。

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「酉の市で見世物も見たんだょ」今野円の興奮は収まらない。「へぇーどんうだった?」口井章も少し気になった。「えーとぉ、蛇食べてたょ」「うぇぇ」蛇は食べられると牧田スガが言ったので、蛇を食べるスガしか思い浮かばなかった。

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牧田スガが蛇を放り投げたことで人集りからは歓声と悲鳴が二分して上がった。口井章はどちらかというと後者だった。「スガリン、よく蛇なんか触れるね。蜘蛛はあんなにダメなのに」「え? 蛇は食べられるよ」とスガは自然に答えた。

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蛇を見て口井章は悲鳴こそあげなかったもののとても厭そうな顔をした。足取りも少し重い。「まどか、戻って来なよ」今野円が人集りに揉まれている横を牧田スガは上手くすり抜け蛇の前に行くと尾をむんずと掴んでー近くの茂みに投げた。#えんすけっ!

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きゃーと悲鳴をあげて牧田スガは口井章の後ろに隠れて肩を震わせている。「スガリン、どうしたのぉ」今野円が心配そうに声をかけた。スガは真っ青な顔で地面を指差して「く…蜘蛛」と言うと同時にそれをI-836がパンっと潰した。

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「寒くなってきたねぇ」「紅葉狩りの季節ももうすぐだね」「また行きたいねぇ。スガリンも行くぅ?」今野円と口井章がそんな会話をしている隣で牧田スガはパンをもぐもぐと食べながら「紅葉狩りは食べられないからいいや」と答えた。

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「まどかの話、ちょっとうす気味悪かったからね」牧田スガはナポリタンを啜りながら言った。「そんなことないよぉ。あきちゅわぁん、そんなことないよねぇ」今野円はすがるように口井章に泣きついた。「あぁ。まどか、きもいからね」

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今日も唐突に始まった。「痛絵馬ってさぁ」「あのアニメとかの絵を気合い入れて描いた絵馬ね」今野円の振りに応えてしまう口井章がいる。「あんな風に妖怪描いたら楽しいよねぇ」神様に妖怪? って以前に「あんた絵下手じゃん」

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