陽のぬくもりをもとめて
音もなくあらわれる黒猫の
金色の瞳が見つめる
窓ガラスの向こう
花びらいっぱいに
冷たい外気に散らばる
光をためたロウバイの
かがやきを受けながら
わたしは
冬のぬくもりを抱きしめる

 

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とある街の路地裏に、美しい3姉妹が経営する小さな茶店があるらしい
そこで出される花茶は疲れた人の心を癒すらしいが、本当に必要とする者しか招き入れないと言われている
お勧めは香り豊かなジャスミン茶
ポットの中の少女たちとひと時の夢を召し上がれ

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あこがれてた
私もお花が欲しかったの
そしたらある日突然降ってきた
知らなくてもよかったのかもしれない
知ってしまってよかったのかもしれない
それは甘くて苦いもの


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「hidden place」

おまえたちは
なんて美しいんだろう
其処ら中に黄を散らせて

おまえたちは
なんていい香りなんだろう
夏の熱気に充満させて

この場所で
夢心地になるのが
いつも好きだった

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ある晴れた春の日
並木道に咲くやえざくらの
幾重にも重なるはなびらが
ふうわり膨らんでるのを
眺めていたら心がおどりだす
花びらのチュチュをまとって
ステップを踏むといつの間にか
花の精もやって来て
一緒におどりだす

 

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私の中の、水に満たされた円い部屋。
その中心にひっそりと、人知れず生まれた、小さな君をみつけた。
君がいると思うと、私は心強いんだ。
小さくても、生きているんだね。
こんな場所で、咲いてくれたんだね。
私を映す、鏡なんだね。


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4月

しらじらと花弁が落下する間に

ちらちらと乱反射しましたそれらを

硝子の中に閉じ込めようとしたら

もじもじとひかりにまぎれて

すり抜けて

薄青いお空にとけてしまいました


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あの日お城に咲いていた
魔女の荊の刺を触って
すがたは変わってしまったけれど
美しさはむかしのままで

わたしは貴方に寄り添いつづける
明日も明後日も 私と一緒よ

棺でねむる わたしの薔薇

 

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