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#マシロ先生の事件簿
「すごいな、漆黒の。ああいや、砂狼、でいいのか?」
「どっちでも構わない。ねえさまは……ねえさまじゃ、ないんだよね」
「お前さんの姉様じゃないけど、代わりの呼び名がある。──先生だ」
「──御形、先生。旧姓で呼ぶのは変な感じ」
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(そういえば、錠前がギャラの未払いにうるさい理由は、やけに腰の低いショットガン使いが関わっているらしい。どうもある特定のタンクの顔が重い浮かぶのだが……きっと触れない方がいいことなのだろう)
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「朝からお疲れ、仲正。……剣先がこんなところでいい空気吸ってるってなると、結構ガチ目の武力侵攻だな? 大丈夫か?」
「一応うちの分校なんで。校内問題だからETO的にセーフだし、シャーレの先生が絡むなら、連邦生徒会的にも申し訳立ちますし」
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「とっととこの縁起悪い場所から帰るぞ。どうせ朝になったから、正義実現委員会だのなんだのがおっとり刀で押し寄せるんだ。めんどくさいことになる前に、奇跡を一つ、見せてやる。──聞こえてるな早瀬! アレをやるぞ!」
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(こうして、迷子の騎士はプリンセスを取り戻した。あとは私の出る幕じゃない。追われる身になってしまうとはいえ、こいつらはその中で迷いながら未来を選んでいくのだろう。それでいいのだと思う)
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(聖園ミカは答えを得た。赦しにたどり着いた。それは私の預かり知らないところで、全く手のかからないいい子で、そのくせ心配ばっかりかけやがって、とも思うのだが。今回の勝因があるとしたら、こいつはその筆頭だろう、と思うのだった)
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(雲霞のように湧き出るユスティナの亡霊。どう言うわけかガリガリと体力を削られるメカ聖女。混乱しつつも、私たちは血路を開く)
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「……」
「……」
「言うな。恥ずかしい台詞だとは思ってる。けどな、自分の過ちで延々苦しみ続けるより、他の選択肢があるなら、白州だって桐藤だって喜ぶだろ。自分の道なんだ、広い方がいいに決まってる。そのためなら、この小さな手をいくらでも貸すよ」
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「こうまで豪快に倒れるもんかね、古い建物だからって……」
「倒してるんだろうね。それが証拠にリーダーとはぐれた」
「ぴいい! 外の世界でいう地雷女のフユコさんですね? 狙った相手と必ず差し違えて空中戦が苦手だとか!」
「どんな地雷女だよ⁉︎ 」
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「聖園……全て奪われたから奪っていいなんて理屈、あっていいはずないだろう。自責でよほど惨めになるだけだって、お前もわかっているはずだろう。許すことができなくても、どこかで止めなきゃいけないんだ。そんな不幸になるだけの無限ループなんて」
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「どんなダンジョンだよ」
「こんなのだよ。誰も全貌は把握していない……もしかしたらマダムはしてるのかもね」
「だったら尚更時間はかけられないな。すまんがこき使うぞ」
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(錠前の告白は凄絶なものだった。生贄として育てられていた秤、アリウスを牛耳るマダム・ベアトリーチェ。秤を生贄にする儀式は、明日にでも行われるという。──今夜は長い夜になりそうだ)
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(百合園が幻視した赤い肌の魔女、そしてアリウスの最奥に位置する聖堂。一方、怪しげなメールに呼び出された私の目の前に立ち塞がったのは、錠前サオリだった)
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(時間は少し遡る。錠前たちは、同胞にすら追われていた。秤が自らアリウスに降っても、ベアトリーチェなる者の手は休まらず、彼女たちはあえなく銃火に倒れようとしていた)
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『私も錠前のDJ、見たいしな。早瀬もそうだろ?』
「ええ。──サオリさん。アズサちゃんに出来たことなら、あなたにもきっとできるはずです」
「アズサにできたこと……そうか。彼女も、今の私と同じ気持ちだったのだな」
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『あいよ。戒野、頭の上を借りるぞ。早瀬は戒野の直掩。錠前、お前が攻撃の主体だ。槌永は錠前を火力支援。秤はヒーリングで二人のサポート! 七囚人に、今時のアリウス勢の力を見せてやれ!』