夏の底を行く,旅人たちの物語.

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銃火器はゴツいほど強い
—— 新人旅人へのアドバイス

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バトラー型シンカロンの装備は,それ自体で遠近両戦闘に対応する為に様々な工夫が凝らされている.
だがしかし,例えば狙撃銃の銃身に回転刃を仕込むのは,実用性を超えた何か,つまり持ち主の趣味嗜好などが,大いに現れたようにも思える.

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「護衛対象に接近する危険性を感知.
 潜在的脅威に対する先制攻撃を自衛行動の範疇として解釈し,排除を開始します」
—— バトラー型シンカロン戦闘形態移行時の典型的発言

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バトラー型シンカロンの装備として,最も好まれたのは回転鋸やチェンソーであった.

殺傷能力の高さや攻撃範囲の限定性,メンテナンスの容易さなどなど,様々な理由が挙げられはしたが,結局のところ,か細い腕で振るわれる巨大な質量と破壊力に人々は惹かれたのだ.

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バトラー型は独自にチューンされた装備を持ち,有事の際に取り出して対応する.

市街地での戦闘になる場合も多く,非戦闘員を巻き込まない高度な管制装置が必要となる.その為バトラー型のコストは一般的なシンカロンの数十倍であり,所有はステータス足りえたのだ.

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バトラータイプの中には,本来の世話役としての機能よりも,護衛機としての戦闘面に注力した機体もあった.
そうした機体は概して好戦的で,一部の愛好家に強く好まれた.

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汎用人型アンドロイド,通称シンカロン(Think alone).

バトラー型護衛機タイプには,長距離狙撃を得意とする種類もあった.その多くは,とても生身の人間では扱えない,旧時代の大艦巨砲主義的な銃火器を装備しており,示威行為として抜群の効果を発揮した.

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臨戦体制に入ったバトラー型シンカロンは,一部の倫理コードが無効化され,護衛対象に危害を加える存在を物理的に”排除”することを最優先に行動する.

それは一つの見せ物であり,当時の人類が倫理的に道を踏み外していたことを象徴する,心温まる思い出である.

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汎用人型アンドロイド,シンカロン (Think alone)

バトラー型の主要業務は主人の世話であるため,普段は人類と大差ない外見をしている.
しかし,無防備というわけではない.
その制服の下に,どれだけの火器を詰め込めるかは,セールスポイントのひとつだった.

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西暦2100年
人類文明は崩壊し,この星は今,黄昏の中にある.

旅人はそんな世界を行く.
何かを探して.
或いは,目的なんてないのかもしれないけど.

終末期の気象兵器の影響か,穏やかな夏の気候が各地を覆っており,意外と過ごしやすいと旅人は口を揃えて言う.

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汎用人型アンドロイド,通称シンカロン(Think alone).

人類を模して造られた彼らの素体は,義躯技術の延長線にあり,殆ど人体と見分けがつかない.
条約で「目視判別可能な部品装着」を義務付けた当時の人類の議論については,今となってはもう,懐かしい思い出だ.

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汎用人型アンドロイドの開発競争は止まるところを知らず,「民間人護衛の為の人道的技術開発」の名の下に様々な特殊兵器が開発された.

大型携帯杭打ち機はその極点の一つであり,実用性以上の何かが,そこには求められていたようだ.

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新発売!バトラーCS33型!
火器管制装置を大幅改良し,2枚のバズソーを同時制御可能となりました!
お庭の雑草から暗殺者まで,根刮ぎ綺麗に刈り取ります!
—— 文明末期のシンカロンメーカ広告より

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汎用人型アンドロイド,通称シンカロン(Think alone).その一種,バトラータイプは,VIP顧客の世話役と護衛を同時にこなすハイエンドモデルだった.
メーカ間競争は熾烈を極め,性能も破壊力も限度なく増加していった.

文明末期の心温まる逸話の一つだ.

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文明の黄昏.
滅びゆく星の夏の底.
それでも旅人は歌をうたうのだ.

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汎用人型アンドロイド,通称シンカロン(Think alone).
様々なタイプが設計・生産されたが,特に重要人物の身の回りの世話係や警護のためのハイエンドモデルは人気があった.

各シンカロンメーカの熾烈な争いの末に,重武装の付き人は珍しくない光景となった.

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大袈裟な武器はそれだけで抑止力になる.
—— 新人旅人へのアドバイス

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旅人が無防備に見えたら要注意だ.
そういう手合いほど,強力な従者が共にいる.

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