「ゴールデンウィークは何処かおでかけするのぉ?」と言う今野円の問いに「食べ歩き」と間髪を容れずに牧田スガは返した。「流石スガリンだねぇ。ぶれないねぇ。まどかは麻布七不思議行くょ」「たい焼きと狸のお煎餅だ」「ぅ…うん」

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「中山くんどうした? 機嫌良さそうじゃないか?」中山五則が珍しく鼻唄交じりに運転をしているので渋沢一二三は聞いた。「あっすみません。わかっちゃいましたか?」「わかったも何もなぁ」「実はですね。五円玉が増えたんですよ」

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リムジンが開くと空気感が変わった。柳田先輩はふわっと地に降りた。「スイーとでてきてトンってなってましたぞぉ」今野円は真似をしているのかぴょんっと跳ねたが似ても似つかない。その瞬間日常の空気に戻った。「何その蒜山高原」

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牧田スガは季節も若干外れた中華まんを頬張ってキョロキョロしている。「あのお店はまる、あのお店はばつね」ぼぞぼそと言いながら通学路としては初めての道を歩く。「大体食べ物屋さんは把握できたな。帰りはどのお店に寄ろうかな」

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「おっとー先輩何やってるんですかぁ」鎌倉音東は黙々と筆記している。今野円が覗きこむと殴り書きのノートを清書しているようだった。少し経ってピタっと筆が止まると「はい台本」と円に書き写したノートを渡した。これも昨年の話。

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柳田先輩は不慣れな操作で携帯電話を見るとメールが来ていた。『熊五郎さんが家出してしまいまひた』「白作さんにしては珍しい誤字ね。熊五郎さんって誰?」などと考えていると『三味線屋に捕まったらだうひましょう』と続報が来た。

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クシュと牧田スガはくしゃみをして鼻をぐずつかせた。「スガリン花粉症?」「多分。急にクシャミが」「マスクすれば良いのに」と言う口井章は完全防備の体制。「マスクはちょっと」と言いながらスガは季節はずれの中華まんを齧った。

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「何かグッドなアイデアはないかなぁ」先程まで日野寿にこってりと搾られていたのに今野円の遊び脳はフル回転している。「まどかちゃんお花見が良いよ。花見」「スガリン明らかに花より団子だろ」牧田スガ案は口井章に軽く流された。

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牧田スガはとても厭そうな顔をした。「宇和島とか根香寺モデルはともかくその絵巻モデルだけは厭…」ぶるっと身体を震わせて目を逸らした。「えー可愛いよぉ」そう言って今野円は絵巻モデルと言われた牛鬼ストラップをスガに見せた。

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「五円玉のひとだぁ」中山五則が車から出てくると今野円は歓声をあげた。牧田スガもその横で笑いを堪えている。「あれれぇ今日はご縁がないよぉ」いつも五円玉つけてる訳じゃないんだけどなと五則は思いながらも額に五円玉をつけた。

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『えんすけっ!』オフィシャルサイトに、ニュー短編「魚の骨プリンス」を掲載しました。また、戸川鶴、金田京子の人物データを追加しました。

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口井章(今夜は肉料理だな)

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「あっさり流されてたけど、まどかちゃんの悩みって?」「スガリぃンよく聞いてくれましたぁ。聞きたいよねぇ聞きたいよねぇ」雪が降っていると言うのに今野円があまりに暑っ苦しいので牧田スガは別にと言うとチョコレートを囓った。

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柳田先輩は妖怪研究会の部室に戻ってくるとふぅと溜息をついた。「柳田先輩どうしたんですかぁ」今野円が人懐っこく寄ってきた。「えんすけは気楽で良いわね」「そっそんなことないですよぉ。まどかだって悩みぐらいあるんですからぁ」#えんすけっ!

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朝のテレビ(原作/ロブ・ゾンビちゃん)

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「先輩、昨日はごちそうさまでした」牧田スガは吉川観保を見るとぺこりとおじぎした。「うちはいつも一人で行ってるけどたまにはああいうのもいいね」「スガリンつぼみいったのぉ? いいんだぁ、いいんだぁ」今野円は割って入った。

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御膳汁粉は漉し餡だから食べた気がしないんだよなぁなんて思いながら牧田スガは『つぼみ』の御膳汁粉を一口すするとサラっと口に入ってふわぁと餡の甘い味が広がった。食べているとも飲んでいるとも言えない感覚にスガは酔い痴れた。

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「よしっ! 今日は先輩が奢っちゃおう」と言うと吉川観方は手を上げて「御膳汁粉」と牧田スガの意見も聞かずに注文した。田舎汁粉が好みだけどOGORIの魅力には勝てない。「ここの御膳汁粉は最高に美味しいんだよ」しかも笑顔。

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「あぁ生き返る」野外スケッチの帰りに『つぼみ』に寄って御膳汁粉を食べるのが吉川観保の日課だ。ガラガラと扉が開いたので見ると知った顔だった。「あっ、吉川先輩」「相席で良ければここ空いてるよ」牧田スガは観保の前に座った。

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「つなちゃんそのスタイルぅ?」今野円が声をかけると宮本つなはビクッとした。「なんだまどかか。これはあれだえーと」「書類整理があるから制服で来たんでしょ。おねえちゃん」宮本けいがフォローした。さやかに樟脳の香りがした。

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