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差し出された手に、恭しく自分の手のひらを重ねる。軽く握って、互いの目をじっと見つめ合う。紅郎の目尻が震える。自分の口元が攣りそうなのがわかる。
先に吹き出したのは、敬人のほうだった。
「これではまるで本当の夫婦じゃないか!」
そのとき、武道場の扉が勢いよく開いた。明朗な声が自分の名を呼び、息せき切って後輩が転がり込んできた。
「あいすまぬ、お怪我をされていたとは気づかなんだ」
針仕事に怪我は付き物である、多めに持っておいて損はなかろう、と語る彼の顔を、紅郎は思わず見上げた。
「いかがされた、鬼龍殿?」
紅郎は、その首を斬り飛ばせない自分に気づいていた。恐らくは、彼も。
だから、苦い顔のままで、紅郎は動けないでいる。目の前の蛇が、自分に一生消えない噛み跡を残して逝こうとするのを、ただ見ることしかできないでいる。
男はーー敬人は、静かに笑った。
「貴様と同じ、燃えるような赤髪の、な」