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1つどうぞと手渡されたお団子をほおばる。花見というだけあって、桜を見ながら食べるお団子は確かにおいしい。きっとみんなで食べればもっとおいしいんだろうな…と思い主の横顔を見つめる。
『Rhododendron』とだけ書かれた切れ端。誰かの忘れ物だろうか。それにしては変なところにあった。まるで誰かに見つけてもらうためにわざと挟んでいたかのような…
「桜…」
柔らかな薄桃色に誘われ、思わずその花の名前を口に出す。
はて、いったいこの花の名前を僕はどこで知ったのだろうか。自分の本当の名前もわからないままなのに、なぜこんなことばかり__
ゆっくりと扉から体を覗かせた少年__館の主はガラス張りのドームに守られた花を抱え、にこりと笑って見せた。
「おはよう蟹目くん。調子はどう?少しは気持ちも落ち着いたかな」
「蟹目?」
自分を指して「蟹目」という主さんに首を傾げる
一枚、瑠璃色をした小さな花弁を掬い上げ、窓から差し込む日の光にかざしてみる。
小さな花弁は何故だかとても引き付けて、まるで自分の一部だったかのようにしっくりと体に馴染んだ。だから、口元に運んで、いっそのこと一つになってしまおうと
【春1】
鈍い頭の痛みと共に意識が浮上する。
ここはどこだろうかと思案する間もなく、自分が目覚める前からそこにいた様子の少年が声をかけてきた。
「ああ、おはよう。大丈夫?」
「う、ん。えっと…おはよう?」
曖昧に頷いた自分に対して少年は安心したのか、小さく息を吐いて胸をなでおろした。