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【19】
今年の夏も、もう直ぐ終わる。
そして、秋が訪れる。
一度去った季節も、新しく生まれ変わって必ずまたやって来る。
季節は巡る。
その思いも、魂も、決して消える事は無い。
春夏秋冬。
それは何時でも私達の中にーーーーー。
【17】
「うん!だってココに来ればママに会えるんだもん」
『え……』
「今もソコにいるよ!ナツおばちゃんたちに会いに来たって言ってる」
チアキちゃんが笑顔で指差す先にあったのは……杭に結ばれた麦わら帽子。
その帽子と共に。
一瞬だけど、確かに見えた。
『あの子』……『アキ』が。
【15】
「オータムパパ」
「オータムじゃなくて!オサム、な」
もう何度も見たこのやり取りに思わず私達3人は吹き出してしまう。
「す、すみません」
罰が悪そうに苦笑するこの男性は、オータムパパこと『オサム』さん。
その横にいる幼い女の子が『チアキ』ちゃん。
『あの子』の家族である。
【12】
やがて。
子どもは無事に産声をあげた。
『あの子』は自身の子の無垢な姿を愛おしそうに見つめていた。時折、優しい声で子守唄を奏でていた。
光を失った眼と、音を忘れた声で。
しかし、それも長くは続かなかった。
【10】
「期待してるからね、未来の名医さん」
『任せとけ』
お互いに涙の跡が残る顔で笑い合いながら小指同士で誓った約束。
でも、その契りが叶う事は無かった。
【8】
まだ濃緑(ふかみどり)が一面に残る地面を区切る古びた木の柵。
その杭の1本に括り付けられた麦わら帽子がまるで旧友との再会を喜ぶかの様に、初秋の風に揺られながら何度も頷く。
ーーーーーおかえり。
ーーーーー遅いじゃない。
それは風の音か。
親友の声か。
『ゴメン』
私は返した。
【6】
今や世界でも屈指の名フルート奏者になったハルは、年中世界を飛び回り、孤児院や刑務所でのボランティア演奏会もしている様で……
そんな多忙な中でも『あの子』との約束は只の一度も違えた事が無いのである。
ハルの優しさと思い遣りには本当に頭が下がる。
【5】
四季っ娘の中で一番の跳ねっ返りだったフユも、今では成年実業家の妻として甲斐甲斐しく家庭を守る専業主婦だと言うのだから……世の中は分からない。
そう言えば曽ての恩師で、特にフユが熱烈に慕っていた結城梓先生から卒業記念にと無理やり奪った一張羅は……今も着ている。流石だわ。
【3】
そんな思い出に浸っていると、2人の女性に声をかけられた。
「よぉ、ナツ!」
「お久し振りです、ナツちゃん」
雪原を思わせる白銀の髪を両サイドで纏めた、オッドアイが特徴のフユ。
春風を感じさせる緑髪のポニーテールと眼鏡をかけた姿が清楚さを醸し出している、ハル。