深町秋生・ 「鬼哭の銃弾」文庫化さんのイラストまとめ

コミック版ヘルドッグスも１０月４日に最終巻が。本日はトークショーのためカドカワに。どうぞよろしく。今は「バッドカンパニー」シリーズの中編をひとつ書き終えて、「ジャンプマネーにあやかいたいでげす」と集英社にコビを売っているところです。

ヘルドッグス完結編「天国の修羅たち」が一昨日発売になったわけですが、９月２日はコミック版の３＆４が発売されます（１０月に最終巻）。そちらもどうぞよろしく。小説＆コミック＆映画と、メディアミックスってやつやね。

ゆうきまさみ「新九郎奔る」５巻。謀略に次ぐ謀略、裏切りに次ぐ裏切りでスリル満点。まだ傍観者だった主人公も成長して狙われる羽目に。相当陰惨な話も軽妙なタッチで読ませる。「男の顔は履歴書」といわんばかりに、バリエーション豊富で、腹に一物あるおっさん爺さん将軍たちのツラがすばらしい。

ニコール・キッドマンの女暴走刑事映画「ストレイ・ドッグ」を先に。今年ベスト級の伏兵。骸骨のようにやつれたキッドマン（そのくせ回想でピチピチ二十代もさらりと演じる）が凄い。ギョッとするラストを用意した精緻な脚本、「ケジメつけたる！」と悪徳都市ＬＡを爆走する主人公が美しい。お勧め。

高齢者が倉庫でいきいき働いているアマゾンのＣＭ。「ごちゃごちゃ能書きたれとるけど、けっきょくあんたの給料なんぼや」と福本伸行のキャラみたいになって問いかけてしまった。青春、勉強、社会貢献とかいう美辞麗句より、こちらが知りたいのは７７歳の老人にナンボ渡して、どう働かせてるかだ。

コミック版「ヘルドッグス 地獄の犬たち１」も、もう早いところは売ってる感じなんですかね。血の涙ボタボタ流して（いい表紙）突き進む話です。かわいい美少女とかひとりも出てこず、おっさんとあんちゃんしか出てこない話です。そんな作品もあっていいはずだ……。

「ハコヅメ」最新刊を。大沢在昌や横山秀夫の警察小説読んだとき「こういう描き方があるのか！（偉そうな見方）」と思ったけど、「ハコヅメ」も「こんな警察の描き方あるのか。勉強になるけど筆折りたい…かなわない」とさんざん思わせてくれたうえに、師弟愛や同志愛てんこ盛りでボロ泣きＫＯされた。

昨日は「パラサイト」四冠で盛り上がり、ポン・ジュノ映画のサントラを聴いていた。物語が面白いのはもちろんだが、音楽も基本静謐でありながら不穏かつ悲哀に満ちている（名作「殺人の追憶」の音楽は岩代太郎）。サントラのジャケットもいい。

近年は「レイリ」（画）と「バイオレンスアクション」（原作。しばらく秘密にしていたらしいが）で、漫画界に旋風を巻き起こしている室井大資先生。１巻のみしか出ていない「イヌジニン」のあまりの面白さに、筆を折りたくなるくらい自信喪失したのを今でも覚えている。

今月の「コミック乱」を。幕府側の農民ゲリラ対薩摩のはぐれ侍の対決を描いた「いちげき」が、じつに無慈悲な展開で、男たちの熱量が限界にまで達した感が。ラストの広能や腕を斬られた仁さんのように「ぶっ殺してやる！」度マックスで、今もっともパワフルで熱いコミックのひとつだと思う。