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名演小劇場といういい加減なミニシアターにいました。日本未公開作品を好んで観ます。

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『ノベンバー』(17)ライナー・サルネ
圧倒的映像美とそのダイナミズムに瞠目。現世と死界が生々しく接触するエストニア寒村で届かぬ恋に身を焦がす若い男女を柔和な白色が抱擁し引き裂く。穢れた掌に小鳥の死骸を掬う娘の悲しみが『マルケータ・ラザロヴァー』で胸に鳩を抱く少女の純真と共鳴。

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「ACCIDENTAL LUXURIANCE OF THE TRANSLUCENT WATERY REBUS」(20)Dalibor Baric
辻褄の合わない夢のようにカオスなクロアチア製アニメーション。種々雑多な表現技術の集合体によるイメージの洪水に、アニメーションの無限の可能性を見る。ただ80分も見せるものではない。

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『ハウス・イン・ザ・フィールズ』(17)タラ・ハディド
モロッコの山奥に暮らすアマジグ族の姉妹。弁護士を夢みる妹と、結婚のため学校を辞める姉。ピントがぼやけるほどアップで映される顔に、撮影者と被写体との親密さが滲む。夜通し続く宴の席、10代の花嫁の空虚な瞳。4/9公開。

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「THE STRANGE LITTLE CAT」(13)Ramon Zürcher
オレンジの皮はなぜ常に白いフワフワ面を上向きに落ちるのかといった些末な会話の中をネコや犬や蛾が絶妙な位置で横切りカメラが絶妙な位置でピタリ捉える。不思議な閉塞感と透明感。ホラーのないホラー映画でありジョークのないコメディ映画。

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『三月のライオン』(91)矢崎仁司
記憶喪失の兄に「わたし、アイス。あなたの恋人です」と嘘ぶくアイスキャンディー少女は、記憶を取り戻しつつある兄を恐れながら兄と体を重ね、泣きじゃくりながら兄の髪を洗う。ポラロイド写真の褪せた記憶。溶けたアイスが体の芯部で冷たく拡がる。

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『異端の鳥』(19)ヴァーツラフ・マルホウル
ユダヤ少年のゴールのない旅路。行く先々で人間のあらゆる種類の醜悪を目にする少年の心は石になる。暗い・長い・白黒と三拍子揃った気の滅入る系ですが、場所を特定させないことで寓話性を持つことに成功している。画の寂寥感が秀逸。今秋公開。

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2024-12-15

「VOLCANO」(18) Roman Bondarchuk
全編が悪い夢みたいな奇妙な中毒性を持つウクライナ映画。OSCEの職員が忘れ去られた辺鄙な村で迷子状態に。突拍子なく理不尽な災難に巻き込まれまくるのになぜか逃げ出さない主人公。抗い難く惹かれていく未知の生活。世界のどこかにもう一人の自分がいる。

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