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08
足を踏み入れた瞬間、空気が変わったような気がした。
梅雨の雨に洗われた緑鮮やかな斜面を、赤い鳥居の石段が幾重にも連なり、はるか上の方まで続いている。昇っていくと、入道雲と青空が鳥居の切れ目から見え隠れする。平日の夕方、訪れる人は他にない。聴こえるのは鳥の声と、自分の息遣いだけ。
06
彼はいるらしいけど、どんな人かは絶対教えてくれない。気になるー!
「衣香子ちゃん、なぁに?人の顔見てニヤニヤして…」
「ふふ、なんでもない!…あ、お客様!」
「あっ、いらっしゃいませ~!」
二人ともとびきりの笑顔になる。
そして、慌ただしい洋菓子店の週末の夜を、私たちは迎えた。