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いくら愛されても足りないと感じるのはなぜ?もっと欲しいと求めてしまうのはなぜ?
それはきっと愛は一過性のものに過ぎないと本能が感じているからだ。
その夜私は極限まで彼を求め、余すことなく愛の言葉を注いだ。今足りないものを埋めるために。
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Vol.1
『想うはあなた一人』
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彼は赤ワインまみれになった口内に舌を滑り込ませた。さっきまでブドウの甘さに満ちていた口内は、瞬時に彼の味に変わった。彼の舌が執拗に私の中を探索する。何かを与えているような、あるいは奪っているような激しいキス。視界が閉ざされた中酔いも回り、静かな快楽の海に溺れていく。
(いいの?こんな流れでしちゃって、後悔しない?あんたはずっと夢見てたんじゃないの?この瞬間を)
(これはもう理屈じゃないの。夢と現実は違う。でもね、現実が夢を超えることだってあるの)
(なんだか随分大人になったみたいな言い方)
(うるさいな。もう黙って)
心の中に潜む2つの声