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——ハクロウの願いはたった一つに決まっている。 そんなの、"彼女"の笑顔だけだ。 もう、今日は疲れた。 彼女に会いたい。
これはミシマだ。紛れもなく。 おかしくなってしまう前の、いつもの、よく知っている穏やかなあのミシマだ。
それは——
ヒトトセレノが一人で退屈そうに店番をしていると、ふと誰かに声を掛けられた。 ぱっと顔を上げた視線の先にいた声の主は——
そこにいたのは、確かにいつものアリマキノだった。 見間違えるわけのない友人の姿。
ハクロウはこれしかないと、意を決して戸に思い切り身体を打ち付ける。 幸いにも、戸は簡単に崩れた。 そこで見たものは——
「あら、なんですか~?」
「にゃ~ん」 一匹の黒い猫だった。
毎日たくさん遊んだ。 帰り際、シロが大泣きして帰らせてくれないことはしょっちゅうだった。 ——ハクロウにとっても、シロにとっても、今でも大切な思い出である。
胸部をおさえ、必死に声を振り絞り「冗談です」と言った。