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「私が貴方や貴方のお師様がお探しのその人でなくてすみません。でも、縁もゆかりもない私のことをこれまで守ってくださって、ありがとうございます。私は私にできることをやろうと思います。偽りの姫と、偽りの護衛でも、楽しかったんです」
「たしかに逢引では無かったな」
「そのはずだったのですが…結局、これではもう逢引同然ですわね」
「?どういうことだ」
真面目に聞くものだから、女はため息をつき、その耳に口を寄せそっと囁いた。
「…残念ながら、今夜のお相手はここに御坐す冴えない足軽、お家の下人ということですわ」