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「見てくださいお兄様、今年も綺麗に咲きましたのよ。」
そう言って彼女は今年も家の庭に咲いた薔薇の花をその腕一杯に抱えてわざわざ僕の元へと持ってくる。手のひらを傷だらけにして、それでも僕のために棘を切り落としてやってくるのだ。
時折本丸に訪れる彼女は、僕にとっては希望だった。
彼を見ていると、あの人を思い出す。
彼と同じ、真紅の瞳を持つ、月のような人だった。
彼は、きっとあの人が私に遺してくれたのだろう。
私が独りで生きていかないようにと。
『いつも側にいるよ』と
あの人の声が聞こえたような気がした。