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陽炎さんのイラストまとめ


いろいろと。

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夏の吐息は夢の中の欠片なのかもしれない
道端の石を拾って秘かに飴玉になればいいのにと思う
夕べの夢は川の人魚になってひたすら蛍石を吐いている
魚の鱗は桜貝に似ているから海に流して祈った
入道雲は何千年も前から此の世にある
不思議な辻占が鉱石の入った宝箱を見せて
ご覧これがあの世だよと

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硝子細工のような心の少年は夏に逝く
儚い病気にかかって桃ばかり食べてゐた
瓦を一枚買って迎え火と送り火をする
その横顔が久遠の刻を湛えている
海の水母にも交わらない
その透き通った三日月のような横顔
冷えたお棺の中で眠る彼は夏を知ってゐる
お地蔵様に挨拶をして夕べの悪夢を捨てている

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櫻の雨は少年を少しずつ大人にして透明にする
硝子細工のような子供達は皆唇に見えない口紅をしている
沢山の戦火と沢山の炎が教科書を炎上させて
子供達は見えない糸で繋がり合って遊んでいる
大人は知らない秘密を抱えて静かに忘れた頃に大人になる
道端のお地蔵様に手を合わせて君は懐かしきを覚え

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懐かしい面影に過去を映し出す鏡があれば
そっと末香の香りが通りを行く喪服の女
あれが見えるのよと襖の隙間から花魁の焼けただれた顔
仄かな恐ろしさとは懐かしさと同じなのかもしれない
古き家の神棚の大黒様の微笑みが不気味
永遠ってなんだろう
人生とは永遠なのか
空は何も答えずただ風が冷たい

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夏の宿場町と少年

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宿場町をゆく

2 27

夜の旅は孤独の旅
電灯の下でたましひは集まって次の旅の話をして
田んぼの上を夜鳴く鳥が行く
たましひは十分集まったかい
心臓の光ってゐる少年が鳥の口から幾つもの魂を取り出す
それは人生をあきらめて仕舞った者たちの悲しい想いの塊
こうして眠らせておくとよい酒になる
光る少年は哀し気に云う

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