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夏の吐息は夢の中の欠片なのかもしれない
道端の石を拾って秘かに飴玉になればいいのにと思う
夕べの夢は川の人魚になってひたすら蛍石を吐いている
魚の鱗は桜貝に似ているから海に流して祈った
入道雲は何千年も前から此の世にある
不思議な辻占が鉱石の入った宝箱を見せて
ご覧これがあの世だよと
硝子細工のような心の少年は夏に逝く
儚い病気にかかって桃ばかり食べてゐた
瓦を一枚買って迎え火と送り火をする
その横顔が久遠の刻を湛えている
海の水母にも交わらない
その透き通った三日月のような横顔
冷えたお棺の中で眠る彼は夏を知ってゐる
お地蔵様に挨拶をして夕べの悪夢を捨てている
櫻の雨は少年を少しずつ大人にして透明にする
硝子細工のような子供達は皆唇に見えない口紅をしている
沢山の戦火と沢山の炎が教科書を炎上させて
子供達は見えない糸で繋がり合って遊んでいる
大人は知らない秘密を抱えて静かに忘れた頃に大人になる
道端のお地蔵様に手を合わせて君は懐かしきを覚え
懐かしい面影に過去を映し出す鏡があれば
そっと末香の香りが通りを行く喪服の女
あれが見えるのよと襖の隙間から花魁の焼けただれた顔
仄かな恐ろしさとは懐かしさと同じなのかもしれない
古き家の神棚の大黒様の微笑みが不気味
永遠ってなんだろう
人生とは永遠なのか
空は何も答えずただ風が冷たい
夜の旅は孤独の旅
電灯の下でたましひは集まって次の旅の話をして
田んぼの上を夜鳴く鳥が行く
たましひは十分集まったかい
心臓の光ってゐる少年が鳥の口から幾つもの魂を取り出す
それは人生をあきらめて仕舞った者たちの悲しい想いの塊
こうして眠らせておくとよい酒になる
光る少年は哀し気に云う