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陽炎さんのイラストまとめ


いろいろと。

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宿場町を歩む老婆の背中はもはや一種の憧憬
吊るし雛は妖しく光り古い日本人形の影
黒猫が足元を纏わりついてくる
何もかもが過去と懐古
郷愁注意、過去に囚われます
街角の看板の注意書き
ここに来てからたましゐは抜け落ちた
歯が抜ける様に骨が折れる様に
何かがふっと奪われた
そう、囚われたのだ

0 19

宿場町は風を操り人を癒す
謎多き影法師が風の舞い
闇と仏もどじょう掬いを踊って
夏はなかなか終わらない
夢法師あの曲がり角で夢が渦巻いている
裏の川で鯉をなますにしてからというもの
背中の鱗の跡がなかなか取れないと
嘆いている衆生が嵐の夜に
本物の鯉になって仕舞う
夏は呼んでいる

1 24

涅槃の花が静かに咲いている
あの絵葉書の中で笑うあなたは夏色で
夢ばかり見ていました
過去はあなたの心に残る花
懐古の風が何処からか吹いてきて
清水はこんこんと湧き出てくる
通りには夏の熱風が今だ何処かで
懐かしい想い出闇のような記憶
あの家のなかで光るたましゐに
罪はないのだから

1 24

少女は大人になる夢を見る
赤い潮も丸みを帯びる体も
なんだか侘しい寂しい
永遠に子供で居たかった
久遠の社の下で毎日枯れ葉の布団を作って
梅雨の水田で泥団子を作って
校庭で独りぼっちで鉄棒する少女は
誰か知らない人の腕の中で
赤信号は点滅している
黒猫は横切る
これではいけないと
それでも

0 14

透き通った息を吐く春の夕べ
妖しは多分遠い過去よりやってきた目覚めの使者
あの神社では只櫻があのお寺では只櫻が
闇の群れに抱かれ刻は戻らないと
過去だけが笑って微笑むだろう
薬指の柔らかい所に蝶は止まって雨水を飲む
その腕にはもう抱かれる事はないだろうと
願えば願うだけ此方を振り返る影

0 13

ぬばたまの夜
春の水路に蛇ひとり
くゆりくゆりと煙を吐く旅人も
夕闇の妖しさに影となり
夕べの夢はよい夢でしたか
大和撫子は咲きましたか
雨に濡れて口のきけない少女は
きりりと赤いあやとりを握ったまま
街灯の下で櫻を恨んだまま
とても遠い町の話
とても長い刻のゆめ
山茶花は咲きましたか

0 17