アミクス〈勇矢さん。この現状を憂いている暇があるのなら、優奈達の負担を減らす方法を考えて頂戴〉

勇矢「…耳に痛いご指摘、ありがとうございます」

…そうだ。戦いの中では彼女達に劣っても、自分に出来る事は他にある。

無力である事を、”何もしない事の言い訳”にする様な無様は見せたくない。

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どうやら、優奈達の実体には特に問題は無いようだった。
静かに安堵の息を吐いてから、勇矢は優奈達に頭を下げる。

勇矢「本当に申し訳ありませんでした」

「…本来なら、我々運営委員会の力で解決すべき事を、また貴方達に背負わせてしまった…」

優奈「いいえ、勇矢さん。決めたのは私達です」

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勇奈「あー…楽しかった」

望「色々あったし、ゴウさんはまだ大変そうだけどな…」

優奈「明日の放課後にでも、お見舞いに行こっか」

望「そうですね」

勇矢「では、お見舞いの前に〈ペルシュ〉に来て下さい。差し入れを用意しますので」

優奈「はい!」

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優奈「ゴウさん!」

勇矢「ログアウト処理後、アイバ課長を直ちに救急搬送!急いで下さい!」

保安部隊「はい!ストレッチャーを用意しろ!搬送先の確保も急げ!」

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優奈「殆ど同時だったみたいだし、同着でも」

勇奈&望「ダメ(です)!」

優奈「うひゃあっ!?うぅ…ごめんなさい…。アミクス、どうかな?」

アミクス〈ゴール前カメラの画像を分析してる、少し待って〉

〈……画像判定終わり。0.1秒差で、勇奈とマーシーの方が速かったわね〉

勇奈「…!」

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勇矢「合図は私が。位置について…3、2、1、スタート!!」

優奈「…っ!」

望「行くぞ、勇奈!」

勇奈「勝負だ、望!」

勇矢の合図と同時に、プレイヤー達がスタートラインから一斉に走り出す。

ある者は一番を目指し、ある者は仲間との対決に心を踊らせ、ある者はただひたすらに完走を目指す。

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勇奈「でも、マスターが言ってたじゃない。「笑って良いんだ」って」

「だったら、今くらいは存分に楽しんで、心から笑っても良いのかな…って思ったんだ。記録なんて、元々二の次だったしね」

優奈「…うん、そうだね」

望「勇奈…今度こそ、白黒付けようか」

勇奈「ふふっ…上等!」

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優奈達の機体も、次々とスタートラインに立つ。

望「修復パッチ適用を確認。各部モーター、負荷値確認…よし」

優奈「…ふふっ、びっくりした」

勇奈「何でさ?」

優奈「勇奈が、自分からあんな事言うなんて思わなかったから」

勇奈「…そうだね、今までのあたしなら言わなかったよ」

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保安部員「…参加者登録していた機体に、修復パッチを当てておきます」

「コースの数値初期化、もう少し待ってくれ!」

勇矢「…では…今から皆さんは、本コースのデータ保存作業を開始して下さい。作業が完了次第、撤収します」

勇奈「…ありがと」

優奈「皆、走ろう!」

望「はい!」

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ーワイルドアスロン運営本部ー

途中棄権扱いとなった優奈達は、参加者の中には入らず運営本部から拍手を贈っていた。

優奈「………」

勇奈「…この景色を台無しにされなくて済んだのは、良かったのかな」

勇矢「本当に申し訳ありません…全て我々の落ち度です。勇奈さんと望くんには、怪我まで…」

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優奈「やった…!?」

勇奈「(あの損傷じゃ、流石に動けないと思うけど…)」

静治「まだ強制ログアウト処理が発生してない。…気を抜くなよ?ああいう手合いは、腕一本でも向かってくるぞ」

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静治「そのまま進め!アイバ・ゴウ!」

望「勝利は、すぐそこです!」

勇奈「(派手にぶちかませ!)」

優奈「ゴウさん!」

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エメル〈アナスタシア女史。戦いの中では、結果だけが真実っす〉

〈”無事”を祈っても全く意味無いんで、”勝利”だけを信じてて下さいよ〉

勇奈「(そうだね…勝たなきゃいけないんだ、あたし達は。あたし達の戦いが間違いじゃないって、証明する為に)」

優奈「私達は…ゴウさんは勝ちます。絶対に」

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勇奈「(ゴウさんも、大鳥警部もさ。狂ったあたしを、命懸けで止めてくれたじゃない)」

望「僕達に”もう一度”をくれた優しい人達を、僕達は知っています。その中には、二人も入ってるんですよ」

優奈「だから、間違いなんかじゃありません!私達のやってきた事は、絶対に…!」

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望「この気配は…DSイレギュライズメモリ!?」

勇奈「(妙だね…持っていたのは知ってるけど、大鳥警部は自分からメモリを使う人じゃない)」

優奈「大鳥警部、どうして…!?」

静治「…メモリの方から、勝手にぶっ刺さって来やがったんだ。全く、これで俺もイレギュライザーの仲間入りかよ…」

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フォトンブラスターキャノンの照射を終え、〈モノクローム・リライター〉が機体各部から放熱する。

勇奈「(これで、デカブツはK.Oだ)」

アミクス〈勇矢さんと保安部隊の人達も、敵部隊を押し返しているみたいね。アナスタシア女史も無事よ〉

優奈「あ…望くんは!?」

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保安部隊「ガタイの割に、視野が狭いな…デカブツっ!」

ジャバウォックが放った砲弾を、ワイヤーで射出されたベギルペンデの盾が一瞬だけ食い止める。

「今だ!」

優奈「最大出力!ファイヤァァァァァーーーッ!!」

フォトンブラスターキャノンが、ジャバウォックに向けて発射される。

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優奈達が再び〈サルベーション〉に戦いを挑む中、静治はゴウに向けて通信回線を開いていた。

静治「さて…ここからは共同戦線だ、アイバ・ゴウ。犯罪組織の相手は俺達の本分。協力しない理由は無い」

「ああ、それと…伊烏警視長から伝言だ。「過去を乗り越えて、前に進もう」だってさ」

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望「…全くもう、また美味しいタイミングで出て来るんですから」

勇矢「形成逆転…ですね。そうでしょう、優奈さん」

優奈「はい。もうこれ以上、〈サルベーション〉の好きにはさせません…!」

静治「ふーん…良い面構えになったじゃないの、アイバ・ゴウ」

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優奈「勇奈!」

勇奈「ああ、今がチャンスだ!」

〈シンクロニティチェイン!〉

〈One is All ! All is One !〉

「「イレギュライズ!」」

重なる二つの声が、一つの魂を紡ぐ。

〈Re:birth! Re:write!Re:definition!Side:Law!〉

〈Full synchronity shift!Monochrome rewriter!〉

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