『夏の夜の夢』『指輪物語』など優れた創作の影響で、妖精は森に、という概念がありますが、伝承を紐解けば、野原であったり谷であったり、湖など様々な場所に彼らは住んでいます。特に私たちと関わり合いのある妖精は、私たちの家の傍ら、窓の明かりが落ちるそこに住んでいます。

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妖精たちの好きなものに『綺麗な水』というのがあります。それは清水や湧き水などですが、中には綺麗に掃除された水回りというのがあります。どうやら台所や足を洗う水(往時はお風呂場などありませんので)がちゃんと捨てられていることなどチェックポイントだったそうです。

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邪妖精の魔法を打ち破る方法は多く伝えられています。例えば聖人の名を列挙したり十字を切ったり。
その中でもとりわけ効果がありそうなのは、ナイフ。
特に柄が黒いナイフは強い力を持つとか。
惑わされそうになったら投げつけたり、踊りの輪の中に突き刺したりと大活躍します。

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人も月齢や潮の満ち引きなどに影響を受けるというのは良く知られていますが、彼らの中もまた同じようで、スラヴの水霊ヴィジャノーイは、月が欠けると痩せ衰え、満ちると肉付きが良くなるそう。彼らは水中に水晶の宮殿を持つほどの力を持っているそうです。

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妖精たちには負の感情はあるのでしょうか。
ピーターパンに登場するティンカーベルは、体があまりにも小さいので1つの感情しか持てず、好きならトコトン! 嫉妬してしまうと、もうその相手を殺す!となってしまうといいます。

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伝承や民話で妖精たちが『鉄を嫌う』という記述が稀にありますが、どうしてでしょうか。
一説には、彼らの源流である古の神々(または神々とされた先住民たち)が青銅器時代の存在であり、鉄器を携えた侵略者に土地の支配権を奪われたからだといいます。

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『天空の踊り子』とはオーロラの事。北の極光は、踊り子たちの翻るスカートだそうです。そしてオーロラの現れる赤い空は妖精の血で、時折見つかる血玉髄(ブラッドストーン)は妖精の血が固まったものだとか。

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妖精譚に無理難題はつきもの。とある姫は妖精の騎士から『結婚したければ縫い目のないシャツを用意して』と言われます。他にも波打ち際の渇いた土地や真下に掘らず井戸を作れ等。スカボローフェアの原曲は『エルフィンナイト・妖精の騎士』というバラッドだと伝えられています。

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日本でも開かずの間には物の怪が棲むと言いますが、同じように、長らく開けてこなかった部屋や納屋には、あまり良くない彼が棲み着くようです。
閉じられていた扉を開けると、ボワッと煙のように飛び出してくる彼らに多くの人が腰を抜かしたとか。

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愛らしい妖精画といえばこの方。
メアリーシシリーバーカー。
花の傍らにいる彼らは誰でも一度は見たことがあるのではないでしょうか。キンダーガーデンで遊ぶ子供たちを見て、この着想を得たと言います。

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妖精が好む食べ物は多多ありますが、伝承で多く伝えられているのが、クリームです。もちろんお店で売られているものではなくて、搾った乳から作られるフレッシュなクリームが大好きなようで、野ウサギに変身して拝借しに来ることも。

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妖精譚に限らず伝統的なセオリーですが、ヒト以外の『なにか』との取引には必ず『対価』が発生します。人魚姫はその美しい声を、水霊を娶った騎士は水辺で決して彼女をなじらない事を。他にも『嘘』や『気持ち』などの概念的なものがそれに当たることも。時に体の一部も。

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はみだし

伝統的に妖精郷は妖精塚の中、波の底などにあるとされますが、オベロンが支配するのは『森』とされていています。中世ロマンス『ユオン・ド・ボルドー』では妖魔の棲む森として怖れられていました。そこに足を踏み入れたものは誰であろうとオベロンの意のままなのです。

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いよいよ夏至が近づいてます。その前夜は彼らが浮かれ遊ぶ時、また人の子を攫いに来る時です。もし攫われたくない、彼らに持って行かれたくないモノがあるなら、ヒナギクの花冠を被せるなどして彼らから隠してしまいましょう。ヒナギクは太陽を象徴し、彼らの魔法を打ち破るとか。

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妖精たちの攫われる人たちは幼子や若い女性が多いのですが、同時に産婆さん、希有な楽士、語り手などもいるのは良く知られています。お産に立ち会う(命を手渡しする)人、この世のものとは思えない旋律や希有な物語を奏でる人。やはりあちら側に近しい人が攫われるのかも。

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人魚と言えば下半身が魚で上半身が人間というのがセオリーですが、中には下半身が二股になった人魚も。果ては背中に海鳥の羽があるものも。海魔女セイレーンとの関係性を示唆される姿ですが、二股尾っぽの人魚はスターバックスコーヒーのロゴでもお馴染みですね。

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彼らからもたらされる事物は様々ありますが『金の鞠』もその1つ。彼らの子どもが遊んでいたものを持って帰ってきてしまうと言う話もあれば、手から離れなくなってしまって、というものも。妖精郷に溢れている黄金の糸で作られたそれは確かに魅力的ではあります。

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オベロンとティタニアといえば、言わずと知れたシェイクスピアの夏の夜の夢に登場する妖精王と妖精女王です。オベロンは小人の王、ティタニアはタイタン(巨人)の娘に由来すると言われています。

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彼らの食べ物を一口でも食べれば、永遠に捕らえられ戻れなくなるというのは良く聞くお話ですが、もちろん例外も。それは妖精王自ら招いた人。希有な例ですが、彼らは食べたり飲んだりしても、こちら側に戻ってきています。しかし体には終生消えない『焼き印』が押されていたとか。

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彼らとの恋や結婚が長続きしにくいというのは良く知られている所です。ヒトならざるモノとの価値観の相違など理由は様々ですが、1番には、生きている時間の速度が違うというのがあります。彼らにとっての一瞬の戯れが、私たちの一生を台なしにするなど、良くあることなのです。

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