妖精避けには様々な方法があり、殊に家畜に関しては多くが伝えられています。尻尾にナナカマドの枝を結んでおくのは有名ですが、中には、雌牛の乳房に糞を塗りつけておくというユニークなものもあります。それほど妖精からの被害は多かったのでしょうか。

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『何年かに一度』というのは伝承では定番の文言です。アイルランドのクレア県に残されている伝説では、西方に7年に一度浮かび上がる妖精の島があると言います。見えていればボートで渡れるそうですが、そこへ続くドアが、ある山の山頂にある湖の、そこに浮かぶ小島にあるそうです。

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塩は妖精たちが嫌う物として度々登場します。塩の神聖性は洋の東西を問わないようで、不運に見舞われそうになると塩を撒くという風習がアイルランドにもあるそうです。ではどこで撒くかというと、馬が突然立ち止まった場所だそう。馬たちには妖精が視えているとされています。

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夏至が過ぎ、また少しずつ夜が長くなります。そう宵闇の妖精族が跋扈する季節がまた少しずつ近づいてきたのです。草木の周りを踊っていた軽やかな妖精たちの歌声はまだまだ聞こえますが、そのほんの近くで、呪いと狂気の妖精たちがゆっくりと近づきはじめたのです。

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夏至です。この日、最も薬効を高めるセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は、その花弁にある斑点は妖精の足跡と伝えられ、また同じ時期に芳しく咲くタイムは彼らのお気に入り。咲き乱れる茂みは彼らの遊び場。不用意に入ると彼らの踊りに巻き込まれるのでご注意を。

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彼らは鉄を嫌うという話はよく見られます。ですから赤子が攫われないように、揺籠に蹄鉄をぶら下げておくなどされたそうです。その派生というわけではありませんが、襟に曲がったピンを仕込んでおくと幸運が舞い込み、賭け事に勝てると言われていますが果たして?

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煙草好きの妖精と言えば口説き妖精ガンコナーです。彼はいつも素朴な素焼きのパイプを吹かしているとか。彼が居たところではそのパイプや紫煙の香りが残っていたとか。という訳では在りませんが、アイルランドでは煙草喫みが部屋を辞すとき一服していかないと不運になるそう。

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妖精は金髪を好み、赤毛は魔力の象徴。これらは妖精譚でよく見られることですが、そもそも髪自体が様々な象徴であるようです。例えば頭髪や体毛が急に変化するのは体調不良や病気の報せであり、時に死の予兆とされたそうです。また髪の縺れは『エルフロック』と呼ばれています。

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今でも目撃例の絶えない泣き妖精バンジー。よく知られているのは誰かが亡くなる家の門で泣くというものですが、民話では意外と妖精砦などの堀の縁に腰掛けているところを見られる事が多いようです。遺跡でもある砦で見つかる櫛などの遺物はバンジーの櫛と呼ばれていたそうです。

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様々な花が妖精たちと関連付けられています。しかしその多くは伝承というよりも後世の作家が作り出したものだったりします。例えばイギリに伝わるチューリップに棲むピクシーの話。イギリスにチューリップが入ってきたのはかなり後になってのこと。

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サンザシの樹がどうして妖精木となったのか。その理由は様々ですが、取材した土地の語り部が言うには「野にポツンと一本だけ佇んでいるサンザシのその樹形が、そして花時の独特の甘い香りがそうさせるのだ」そう。形(香り)が先か、それとも性質が先なのか。興味は尽きません。

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妖精信仰の中で暮らすということは、生活の中に
『彼らがいる』という前提で日々が過ぎてゆくことです。例えば古くからの祝祭日や忌み日などは妖精のために僅かばかりのパンやお酒がテーブルの下、軒下に出されました。それがないと彼らの不興を買うのです。

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妖精から貰ったものは永遠に人のモノになるのか? これは大きな疑問です。妖精たちから贈られた物の中には一晩にして燃えて消える物や受け取り主を殺そうとする呪物もあります。ただ世の中には、いくつか彼らからの贈られたという品が残されています。

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妖精は仕事らしい仕事をしていないとよく言われますが、中には出稼ぎ?と思える様なことも。それは他の地域に出向いて、そこで市を開いたりするのです。向こうの丘で楽しそうにしているので行こうとすると、そこには何もなく、また向こうの丘に市が見える。つまりはそういう事。

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妖精たちが呑み助なのは良く知られていますが、時々酒蔵や貯蔵庫から拝借するという悪い癖があるようです。それを防ぐためにも樽の最初の一滴を彼らに捧げたりするのは良く知られたこと。中には、塩を一つまみ入れた酒を置いておいて、彼らを退けるという方法もあったそうです。

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台所にミルクの飲み残しを置いておく。聖夜には床に落ちたパン屑をそのままにしておくのは彼らの為というのはまま聞く話ですが、中には煙草を置いておくという習慣もあるそうです。もちろん彼らが煙草を喫うからに他ならないのですが、靴屋妖精などが吹かしているそうです。

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妖精王は遊行する。というのは伝承や民話で多く見受けられる場面です。ハロウィンや5月1日前夜など、王は妖精郷の扉からこちら側にやって来ます。素晴らしい馬に乗り、出向いた先で美丈夫や乙女を攫うのです。攫われた者は永遠の微睡みと至福の内に何百年も過ごすのです。

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妖精、特に男性の姿をした妖精が勧めてくるものに煙草(パイプ)があります。どうやら彼らの多くが愛煙家のよう。もちろんそれがただの煙草であるはずも有りませんが。ある逸話では、丁寧に煙草を勧めた牧夫が、そのお礼として魔猫殺しの魔剣を手に入れる話が伝わっています。

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妖精の贈り物には、身につけると首を絞めはじめる肩掛けや、胴をねじ切るべく縮む腰帯など剣呑な物が多いのですが、好意として贈られる物の中には、杯や使っても無くならない銀貨など。中には「高価な額」があります。どんな魔法があるのかは使う前に棄てられたので謎です。残念。

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妖精郷からひと時でも帰ってきた人を、こちら側に留めておく方法の中で、一番簡単なのは『掴んだ手を離さないこと』だそう。例え相手が暴れようが、妖精の呪いで姿を変化させようが、です。それさえ守れば、愛しい人はこちら側に戻って来られる『かも』しれません。

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