物心ついた頃には僕はもう僕だった そんなの聞いてなかった ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
きみという葡萄畑の夕暮れにたった一人の農夫でいたい ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
僕だけの秘密にしてる神様の誤植が僕のなかにあること ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
ハーモニカの端を吹くのはむずかしい隣の部屋がひとつ無いから ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
さよならは少しずつした方がいい脱水症に気をつけながら ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
飼ってもらえなかった犬に似てるのに飼いたがった気持ちを再現できない ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
えっ、七時なのにこんなに明るいの？ うん、と七時が答えれば夏 ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
「どこか違う国へ行きたい」踊り場でウォータークーラー踏んで僕らは ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
ゆぶね、って名前の柴を飼っていたお風呂屋さんとゆぶねさよなら ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
ポケットの硬貨２枚をネクターに変えて五月の風のなか飲む ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
ふるぼけた水平線をリヤカーであつめて編んだ淡いストール ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
Nujabesで耳をふさげば掃きだめの夜もワンオクターブ明るむ ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
校区から信号ひとつはなれればいつも飴色だった夕焼け ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
二回目で気づく仕草のある映画みたいに一回目を生きたいよ ／岡野大嗣 #tanka ＃サイレンと犀
ベージュ色のジャケットを着た老人のジャケットにかなり付いてるさくら ／岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀
