風鈴の電気仕掛けはあるまいと
  思っていたい日暮れなりけり

8 61

緑陰にまどろみすれば
 猫共が
  阿波踊りする夢を見たりき

11 73

雲の峰サーフィン中を転落し
  死すと思えば目覚めたる朝

7 61

冷奴
豆腐主役の
気でいるが
実は主役は
鰹節なり

うっひゃぁぁぁぁ!! すみません 絵を付けるのを忘れてアップしてしまいました ここに再掲させて頂きます

5 56

赤々と沈む夕陽に赤々と
 熟れたるトマト食うてをりけり

5 69

無粋なり飲むべからずの
 立て札は
  長い馴染みのこの石清水

最近突然立て札が立ったのです

6 51

泉とは気まぐれ者よ
 一昨年の
  地震の後は枯れ果てたまま

9 53

散るさだめ悲しこととは
 言いながら
  散る術知らぬ造花また悲し

9 63

農道の曲がれるわけは
 その昔
  ここに泉のありけりと言ふ

11 65

一瞬に命を奪う誘蛾灯
 虫は己の死するを知らじ

6 52

夏至峠昨日越えたり
 今日からは
  冬至谷へとただ下る道

11 54

虫として蛍を見れば
 真っ昼間
  バー街を行く心地に似たり

6 45

翡翠は飛び来たりかつ
 飛び去りて
  谷の静けさ忽ち戻る

8 50

客いまだちらほらなれど
 島の夏
  船着場からかく始まりぬ

2 39

梅雨晴れ間眼あげれば
 二階まど
  訪ねる人が手を振ってをり

6 37

墨の香のする如き書を
 書きたくて
  書けば確かに墨の香はする

5 49

蝸牛汝に過去はなく
 未来なく
  時間を止める技も持つらし

7 48

蚊遣り豚煙紫に
 網戸越し
  窓に瀬音を聞きつ寝る旅

4 47

アジサイは
雨にぬれをり
その奥に
 昔ふうなる
 桟のガラス戸

12 65

手を洗いレシート見つけ
 チェックして
  また手を洗う洗い熊なり

6 33