「雨の匂いが染み込んだ」

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少女は、惑星を引き連れて旅に出る。

右手のトランクには、必要な動植物を詰めるだけ詰めた。

『今度こそ争いのない星を作ろう。地球は少し複雑にし過ぎたわ』

花の種類を決めて、海の面積を試算する。動物たちが走り回る草原の香りはどれにしようか。

『あー、神の孫って割と多忙ね』

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リンハイ合同誌一緒に描いてくれる方募集します。3月には本出たらいいな~くらいに思ってます。140字小説とか日々の落書きレベルでも結構です。応援原稿くらいの気持ちで寄稿してくれたら嬉しいです。詳しいことは何でも聞いてくださいあんまり決まってないけど。誰も来なかったら落書き集だします~~

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ここんとこ140字小説脳だったけど4コマも描いてるよ~。
この2人の視線の先にあるものは…?!

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悪の組織、その首領との戦いの中、俺はピンチに陥っていた
敵兵器の威力は強く、火器は既に尽きた。

「馬鹿者!
その程度で諦めてどうする? 」
死んだはずの、師匠の声が聞こえる

「流れに身を任せよ、さすればお前は何者にも負けぬ」
不思議と、銃弾の起動が見えるようになっていた

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永遠なんて存在しない。
「一生側に居る」と言ったあの人は、半年後には後輩の隣を歩いていた。
私は 常に、相手が離れていく恐怖を抱きながら生きている。
だけど それは、相手を信じていないわけではない。
だって、君がくれた「ずっと応援している」って言葉。今はきっと本物でしょう?#140字小説

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樹の枝に小鳥が音符のように並んでいる。僕が窓を開けた瞬間、小鳥たちは飛び立ち、揺れた枝から雪の花弁が舞った。僕の後ろ手に隠し持ったずるさに気付いたのかもしれない。雪の降った後の世界はあまりにも浄化されているので、隠し事はすぐに見透かされてしまうのだろう。#140字小説 

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翼を失った僕は飛び立つことが出来ずに、冬に置き去りにされてしまった。地の果てからひたひたと押し寄せる冷気が、世界を凍てつかせる。世界が静止し圧倒的な静寂が訪れた瞬間、それは空から落ちて来た。白い羽根。僕の失った翼を覆うように、幾重にも降り積もる。#140字小説 

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風味なんていらない。ただ苦みだけがほしくて、僕はインスタントコーヒーの蓋を開ける。沸騰した湯にコーヒーの粉が溶け、漆黒の闇が湯気を立てた。水面に写る覇気のない僕の顔をかき消すように、スプーンでかき混ぜる。勝つべき相手は奴じゃない。自分に巣くうもの。#140字小説 

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灰色の空からとめどなく降る雪。音もなく静かに世界を覆う雪の美しさに、思わず見惚れてしまう。しかし、立ち尽くしていたら、たちまち僕らは雪に埋もれ凍てついてしまう。雪に足をとられても歩き続けなければならない。芯に灯る炎を絶やさぬままに。それが冬の掟。#140字小説 

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冬の朝、食卓に並んだスプーンは、ひときわ眩い。スプーンで朝陽をすくい、あたたかいスープに混ぜる。陽だまりのように優しい味わいに変わった。僕をこれまで目覚めさせたものは、悔しさや悲しさや怒りだった。でも、ようやく僕は、こんなスープで目覚められるようになったんだ。#140字小説

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鍋に入れた牛乳が、叶わなかった願いと共に、ふつふつと沸き上がった。生まれた膜をスプーンで弄び、雑音を消して行く。本当に聞くべき音はわずかしかない。その一つは、牛乳の沸き立つ音だ。傷は癒えなくたっていい。足を引きずりながらでもいい。忘れることが復讐。#140字小説
 

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雪の降り積もった校庭からは光が溢れていた。僕達は光の中に飛び込み、雪玉を作って投げ合った。たちまち僕達は無邪気だったあの頃に戻った。寒さで顔を真っ赤にした僕らは、愛想笑いを忘れて、本気で笑っている。口から吐き出される白い息は、もう、ため息なんかじゃない。#140字小説 

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築きあげたものは案外脆く、ため息で崩れてしまった。残されたのは瓦礫の山だけ。掘り起こすしかなかった。瓦礫は僕の身体を傷つけた。雨風が僕の体温を奪った。惨めな僕を笑う者もいた。ようやく瓦礫から見つけられたのは、泥にまみれて汚れている。それが全ての始まりだったんだ。#140字小説

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雪が積もったばかりのグラウンドには足跡一つない。友人とどちらが多く足跡をつけられるか競うことにする。雪は膝まで積もっていたので足を取られ何度も転んだ。雪だらけになって走り回った僕達。あの時は何も怖くなかった。例え迷子になっても足跡を辿って見つけられたから。#140字小説 

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鼠色の分厚い雲が世界を覆い光を遮っている。木々たちは葉を失い、冷たい風に震えながらも骸骨のような枝を天に伸ばしていた。色を失った冬の世界では光だけが希望だった。たとえわずかな光だったとしても木々は追い求めた。やがて春が訪れ花を咲かせられると知っているから。
 

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沈みゆく太陽が空の淵を焦がす。街が夕陽の炎に飲まれぬよう、空は自らを捧げ燃えることを選んだ。やがて悲鳴にも似た夕陽の帯が人々の影を伸ばし、夜が涙のように滲む。痛みや苦しみは、星々へと生まれ変わった。月明かりが歌う子守歌に合わせ、星が鈴の音を鳴らしている。#140字小説 

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