今日はインボルグ。アイルランドの立春です。アイルランド三大守護聖女ブリジットの祝祭日ですが、彼女はもともと詩と閃き、春と鍛治などの女神ブリキッドであったとされています。この日あたりから春を告げるスノードロップが咲き始めます。白い花弁は女神の足跡かもしれません。

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妖精が素晴らしい薬草の知識を持っているという伝承は多く伝わっています。それは何故か。1つには彼らは実は堕天使で、天から放逐されるとき一緒に薬草を持ち込んだからとされています。彼らは地獄に落ちるほど悪くもなく、天に帰れるほど良くもないので地上に留まっているそう。

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妖精たちの体はどこか一部人と違う所があるという伝承がありますが、どうやら彼らからもたらされる楽器にも当てはまるようです。サンザシの精霊から貰った、聞く者を魅了するフィドルは弦が1本のみでした。そう言えば日本にも鬼から貰った笛に似たような逸話があったような……。

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気前が良い、働き者と彼らに好かれる性質はつとに有名ですが、逆に悪戯されやすい性質というのもあります。伝承や民話で聞かれるのは「怖いもの知らずの人」です。「妖精なんて怖かねぇさ」そう嘯いている人の前に、変身妖精プーカは現れ、死ぬ程の怖い目に遭わせるのです。

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火で炙る、湖に投げ込むなど取り替え子として攫われた子供をこちら側に戻す方法は時に乱暴で危険なものになります。もちろん相手は醜い邪妖精なので容赦する必要はないのですが。湖に打ち捨てられた妖精がYellowフラッグ、黄菖蒲に変化したという逸話もあります。

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妖精の投げ矢(フェアリーダート)という攻撃があります。その名の通り、妖精たちが矢を射かけてきて、当たると(必中なのですが)半身不随になったり、下手をすると死んでしまうというものなのですが、時折、治療されると、患部から本当に「石の鏃」が出てくることがあったそうです。

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いたずらや冗談でも妖精や幽鬼の真似をするのは良くないとされています。とりわけ「迎えに来たよ」という単語を、「そういう意味で」口にするものではないとされています。そう口にした人も、言われた人もどちらも彼らに捕らわれ、帰ってこなかった逸話も……。

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妖精たちがやってくる家があります。それはおおよそが妖精の通り道「Fairy path」に建てられた家のことで、夜な夜な嘲笑う声が聞こえたり、石を投げつけられたり果ては屋根を吹き飛ばされたりと散々な目に遭うそうです。そうなってしまっては引っ越すしかありません。

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今年一年たくさんの方に見て頂き本当にありがとうございます。また来年もマイペースに彼らの事を呟いていこうと思います。それでは、彼らと妖精郷からの祝福があることを祈って!
そうそう、彼らの『お節』と『お屠蘇』?は頂いちゃ駄目ですよ? 帰ってこられなくなりますからね

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アブサンというお酒は、その色、材料などから「緑の妖精」と呼ばれることがあり、飲めば彼らが視えると言われるときがあります。それと同じではありませんが、アイルランドのパブで妖精を視てみたいと言うと、土地の人たちからもっと飲まなきゃ!とウイスキーを勧められることも。

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ハロウィンの夜は死者が妖精と共にこちらがに戻ってくることは良く知られています。あちらとこちらの境界線が薄れるからだそうですが、聖夜は天国の門が開くと言われています。そしてこの夜に召された人は全て天国に行けるとも。

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妖精たちの居城、寝床といえば大樹の影、キツネノテブクロ、そして妖精砦や塚と言われています。それは小妖精たちばかりではなく、アーサー王やジェラルド伯など妖精騎士として名高い人々も復活の知らせを待ち眠りについていると言います。さてその知らせはいつ?

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「妖精の洗濯場」など彼らが出没する場所は、昔からの地名から読み解くことが出来ます。では逆に、彼らがまったく寄りつかない場所はあるのでしょうか。いくつかの民話では、司祭がやって来て聖書を読み上げた場所などがそれで、二度とそこには現れなくなったとか。

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日本酒やワインなど新酒の季節ですが、お酒は彼らも大好きで、ウイスキーやポティーン(アイルランドの私家酒)などの最初の一滴を盗むそう。特にウィリールアと呼ばれる妖精は、その為に人を攻撃したり呪ったりするそうで、口開けの1杯は彼らのために取り置かれる習慣があるそう。

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妖精譚には時々不思議な、そして何かを示唆するものが登場します。例えば水が一筋注ぎ込んでいる頭の形をした石で出来た頭。三組になっていて、1つは一筋注ぎ出し、1つは二筋注ぎだしています。最後は三筋注ぎだしているのですが注ぎ込む水はない。

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彼らの王が聖杯の原型とも言える「豊穣の杯」ないしは「大釜」を持っていることは良く語られていますが、時に森や妖精砦近くで、真ん中が凹んだ小石が見つかることがあります。それはまるでカップのようで、水を汲んだり出来そうです。「妖精のコップ」と呼ばれているものです。

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お酒の失敗というのはいつの時代もあることですが、妖精譚には強かに酔うと遭遇しやすいモノがいます。それは変身妖精プーカで、巡礼にウイスキーを持ち込んだ不届き者を散々な目に遭わせるというお話があります。罰するためなのか、はたまた酒を横取りしようとしたのかは謎です。

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不思議な曲を吹いたり弾いたり出来る楽士が物語にはよく登場します。聞けば椅子であろうと踊り出すなど様々。それらは恐らく妖精から教わった、盗み聞いたものなのですが、決して本人は明かそうとはしません。それは出所がバレてしまうと曲の魔法が消えてしまったりするのです。

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妖精に取り憑かれるというお話が、時々見受けられます。それは守護妖精などとは違い、害悪を及ぼす恐ろしいもの。例えば「お相伴妖精」と呼ばれる小さな山椒魚にも似た妖精は、体内に寄生し、宿主はいくら食べても先に栄養を横取りされるので、食べても食べても痩せ衰えるそう。

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今よりも昔、人々は冬、暗い季節に死をより身近に感じていたようです。森には冬を支配する黒い老婆がやって来て、手にした杖で木々を叩くと、僅かに残っていた葉も落ち、木枯らしが吹き荒れます。彼女は古の女神の成れの果て。もしも彼女に見つかれば、それは死を意味したのです。

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