その情報を『見てしまった』ルクレツァが顔面を蒼白させ体を震わせて言動が安定しない状態へと陥る

「アレ…ゼンブ…ワタ…シ…?」
「無事とは言えません…彼女には落ち着く時間が必要なのですが…」

彼女の傍らに立つトビアスは、ジェーンの方を目にやる

「…。」

オルフェスを睨むジェーン

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『トビアスさん、これから有志の人がゲートの解除にかかります』
「…わかりました、警戒を怠らずに」

現地に赴くラリーの言葉に険しい顔をしながらも応答するトビアス

『トビアスさん…ルクレツァさんの様子は…大丈夫ですか…?』

ラリーが恐る恐る確認をとる

「ナンデ…ワ…タ…ガ…」

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有志達の戦闘映像を司令部で確認するグレイソン

「あれは…【サスペンダー】⁉️」

アルゴス同盟のEXMを確認した瞬間、グレイソンが目を見開く

「知ってるのですか、グレイソンさん?」

トビアスが問う

「バイロンの可変式EXMだ…地球にはまだ配備されてないハズのモノが何故奴等が…⁉️」

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『「スパイの一件があってかくわしい情報は伏せさせて頂く」…と言われまして人物像は解りません』

ですが、と続けるトビアス

『要人の信号データを此方に回して貰いました』

有志達の端末に【要人】の位置を示すデータが更新される
スペースコロニー【ハーデス】内部、中枢区画に信号が点る

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「ルクレツァ⁉️」

トビアスがルクレツァに駆け寄る

「あ…ああぁ…」

怯えるルクレツァ

「ルクレツァさん…いったいどうして…」

突然怯えだしたルクレツァに疑問を抱くラリーは、今一度男の方を見る

瞬間、ラリーは見逃さなかった
男が見せた表情を…
『ルクレツァ』に見せた一瞬の表情を…

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宗教的な服装をした白いロングヘアーの男性、真っ赤な瞳が神秘性を秘めていた

「あの男は…?」

トビアスも男を凝視する

「何だろう…凄い見た目してるけど?」

ラリーが興味深そうな目で見る

「………ひぃっ⁉️」

ただ一人、ルクレツァだけがその人物を見て悲鳴を上げる
体を震わせる

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「そいつはまた…穏やかな関係ではなかったでしょうなぁ…」

グレイソンが頭をかく

「一緒に会話したことも殆どありません…」

ミリアの思い出の中の彼女も良い印象は無かったらしい

「ふむ…痴情のもつれ…という線ではなさそうですが…」
「トビアスさん、デリケートな話なんですから…」

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「…失礼ですがミリアさん、レオン=エルドリッジは部下達全員と共に行方不明になってたんですよね?」
「はい、そうですが…」
「トビアスさん達の証言が事実なら、奴の部下も何処かでスタンバってるだろうな…」

ボーセス=ミッタモール

唯一確認されていないレオン=エルドリッジの部下である

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「ミリアさん…貴女が教えて下さったメンバーの一人ですが…私達はその人物を知っています」
「え…」

トビアスの言葉にミリアが反応する

「港湾施設を襲ってきたテロリスト…あの『角付き』のパイロット…」

有志達と共に激戦の末に倒した『角付き』
あのEXMの奮戦により敵を逃がす結果となった…

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「ルーク=アドリアス⁉️」

その名前を聞いたラリーが驚愕する

「その名前は…確か…⁉️」

ルクレツァも消沈仕掛けていた気分が吹き飛ぶ

「まさかここでその名前を聞くことになるとは…」

トビアスも険しい顔をする

「ど、どうされたんですか?」

ミリアが色めき立つ3人の反応に困惑する

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トビアスが次なる穂先をミリアへ向けた

「…私…ですか…」

戸惑う様子を見せるミリア

「心の整理がついてからでも大丈夫ですよ?」

グレイソンが配慮を見せる

「…大丈夫です、それに作戦にも影響することですから」

ミリアは問題ないと語る

「…御願いします」

トビアスが頭を下げる

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「という訳でこの話、一応機密扱いなので皆さん御願いしますね?」
「え」
「…ちゃっかりしてるねぇ」

と、軽く微笑みながら釘を刺すトビアスであった
はぐらかされた部分も多いが、彼なりに彼女を守っているのだと感じた

「…さて、ルクレツァの事を話したのですから…次はミリアさんの番ですよ」

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「も、問題しかありませんよ…」
「まぁその後、監査官の方にも立ち会った上で【町】の一員として迎えましたから」

その辺りは問題ない
そう告げるトビアスだった

「場合によっては貴方の命を失いますよ?」
「…彼女を救うと決めた以上、覚悟の上です」
「司令…」

トビアスの強い覚悟が伺えた

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行き倒れたルクレツァを保護したトビアスは、所属する部隊が駐留する基地へ帰還し彼女の治療と事情聴取等を行った

自分がマクシオンの兵士であることを明かし、部隊の撤退時に『殿』を務め生き残り、合流する為に彷徨っていた

それがルクレツァの事情であった

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「荒野地帯Lっていったら…その頃私町の留守を任されてた頃ですよね?」
「ええ、貴女からお土産を頼まれたあの頃ですね」
「…まるで旅行感覚のノリですね」

二人の会話に聞いていたミリアが突っ込みを入れる

「…まぁ、旅行感覚をも吹き飛ばす案件になりましたがね」

トビアスの言に怒りが滲む

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「三陣営の戦いが沈静化しつつあった頃、私は消耗した本隊の代わりに採掘施設周辺の哨戒任務にあたりました」

外人部隊に近い立ち位置であったトビアスは、隊のメンバーと共に哨戒任務を行っていた

当時砂嵐が酷くなり一時基地へ帰還しようとした道中で血塗れて倒れていたルクレツァと遭遇した

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「監視、ですか…」

下された処置に険しい表情を浮かべるトビアス

「あのローレンツって人が連れていかれたのに…どうしてですか…」

ラリーも対応に怒りを覚える

「妥当な判断だと思います…私が同じ立場ならそうします」

レオンとの関係を考えるミリア
上層部が目を光らせたいのも頷ける

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「大丈夫?ルクレツァさん…」
「…はい、なんとか」

同僚の心配をするラリー
親友の死を嘆く暇もなく取り調べを受けたルクレツァは心身共に疲弊していた

「その様子ですとかなり絞られた様ですね…」
「…身ぐるみ剥がされた気分です」

二人の様子を伺うトビアスにミリアが当時の様子を例え話す

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「そんな顔をするな、今生の別れでもあるまい」
「………」
「時間だ、行くぞ」

MPに諭されローレンツは連行されていく
その様子を司令部の面々は見送る

「グレイソンさん、大丈夫ですか?」

トビアスが心配して声をかける

「問題ない…とは言い難い…な…」

受け取った煙草を見つめ握り締める

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トビアスをすこれ

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