おまえは壊れた。壊れてしまった。
何の楽しみもなく。
誰もいない空を一万年も漂い続けて、
女神であるが故に。
誰にも助けを求められず、
しかし、そんなおまえを
傷つけたくないだなんて思ってしまった。
……だけど、 

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そう、おまえには心があったのだ
怒りや妬み、そう言った感情が、
おまえが、端末ごと島を攻撃して来たその時、
気付いてしまった……気付いてしまったのだ。 

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位も、肩書きも、
今この場においては全て邪魔だ。

オリオン
「我、月の女神アルテミスを真に撃ち落とすため、
 己が冠位をここに返上する!」
オリオン
「更には『三星の弓人』の名も巴御前へと譲渡する!」

俺はただ、俺のありのままを、
おまえに届けたい。 

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メルト
「私が壊れるくらいに強く握って、
 ーーアナタが居ることを私に感じさせて」 

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メルト
「エルト」
エルト
「はい」
メルト
「手を……握って欲しいの」 

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オリオン
「ーー俺はオリオン!
 ただのオリオンだ!」

そう。そんな事はどうだっていい
ここに居るのも、ここで弓を番えているのも、

全ては俺の意志、俺自身の選択だ。

ーーその事を、今から証明してやる! 

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オリオン
「アルテミスッーー!」

遥か彼方への呼びかけは、獅子の咆哮のようだった。

俺がここにいるのは、冠位であったからか?
それとも、女神を撃ち落とした男だからか?

きっと答えはその両方。
だけど、今は…… 

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エルト
「『愛する女を、撃ち落としてこい!
 ーーオリオン!』」 

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オリオン
「……よし!じゃあ頼むわ!」
エルト
「ええ!
 持っていけ!最後の令呪……」 

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エルト
「……撃った後、どうします?」
オリオン
「撃った後?
 そりゃおまえ……」
オリオン
「……そうだな」 

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メルト
「アイツ、最後まで素直じゃなかったわね」
エルト
「妹に振り回されられるタイプなんでしょ」
オリオン
「ハハッ、そりゃあ違いない!」
オリオン
「妹の為に策略練って殺しちまうような奴だしな!」
メルト
「被害者が笑っているとどうしようもないわよね」 

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パリス
「すみませんマスター。
 せっかく眼を覚ましてくれたのに」
エルト
「『良いところで目覚めてくれた』
 そう言って良いんですよ」
エルト
「格好良い所……お願いします!」
パリス
「ーーはい!それじゃあ……」
パリス
「巴さんにも負けない、太陽の矢になって来ます!」 

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エルト
「同じ立場だったら、私だってそう思います。
きっと気が狂っちゃいそう!」
オリオン
「……ハハッ、やっぱそうだよな!」 

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オリオン
「だが、少しだけ安心した。
 随分勝手な事かもしれんが」
オリオン
「ーー俺以外の奴がアイツを撃ち落とさないで良かった」
オリオン
「俺にも機会が与えられて、良かった
……なんてホッとしてしまっている」
エルト
「それは仕方ないと思いますよ」 

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トモエ
「不覚、
 あれを以てしても及ばないなんて……!」
オリオン
「……いいや十分だろ。
 急ごしらえで矢以外のものを撃ち込んだんだ」
オリオン
「もし、それ用の装備で出向いたなら
 今ので終わっていたかもしれない」 

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トモエ
「三星一矢!絢爛旭光!」
トモエ
「我が想い……黄昏の彼方へと届け!」 

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霊基に亀裂が走り、焔が溢れ出す
しかしそれでも私は絶世の剣を弓へと番える
たとえそれが誰かが愛する者だとしても

トモエ
「ーーあなたを撃ち落とします」
トモエ
「送り届けたい人がいる。その人を照らす篝火になりたい。
 月が……太陽に照らされるように!」 

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メルト
「見なさい。
 新たな『三星の弓人(トライスター)』が産まれる瞬間を!」 

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エルト
「これ……北欧で見たのと同じ」
メルト
「ええ。清姫に出来る事が私に出来ない筈が無いもの」
メルト
「私は全竜(リヴァイアサン)であり月女神(アルテミス)。
 だから竜の逸話として彼女にその名を授けられたのよ」 

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