優奈「かしこまりました、少々お待ち下さい」

マインの分の茶碗を下げ、厨房に引っ込む優奈。程なくして、茶碗8分目まで盛られたご飯を持ってくる。

「お待たせしました。ご飯のおかわり、どうぞ」

ルビー「程々にしないと、団子が入らなくなりますよ?一応、団子はお持ち帰りも出来ますがね」

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勇矢「またのご来店をお待ちしております」

優奈「ありがとうございました!」

シホとマスターに一礼した勇矢達が、二人と一匹を見送る。

勇矢「さて…それでは、我々もお見舞いの準備をしましょうか」

優奈「はいっ」

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有理沙「(話は聞かせてもらった!)」

優奈「ふわあぁっ!?」

アミクス〈話の内容的に、有理沙博士も十中八九呼び出す事になるだろうと思って。通信回線を繋いでおいたのよ〉

勇矢「あの、義姉さん…?今日は望くんと勇奈さんの検査をしていたのでは?」

有理沙「(うむ!二人とも異常無しだ!)」

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勇矢「(ほほう…大胆な提案をしてきましたね)」

優奈「………(無言で事の成り行きを見守っている)」

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勇矢「そして、自らを養う為に命を頂くからこそ、人は”頂きます”…と感謝を伝えるのです」

ゼノ「そうなんだー…」

ルビー「(…果たして、ゼノはどの程度事の本質を理解しているのか、いないのか…)」

優奈「あ、ご飯のおかわりは如何なさいますか?」

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勇矢「ええ、是非とも」

優奈「お会計ですね。お団子が二つと苺大福で1470円、お茶漬けは480円になります」

ライト「また来ると良い。たまには、自由に飛びたくなる時もあるだろう(ジークを見ながら)」

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優奈「(無口で食べ進めてる…)」

勇矢「(ふむ…あの様子、気に入って頂けた様ですね)」

ルビー「(社長の周りだけ空気が違う…。一般人よりも所作はしっかりされてますし、当然でしょうか)」

各々が無言で竹の子おにぎりセットを食べ進めるゼノンを一瞥し、特に口を挟む事無く仕事をこなす。

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優奈「お待たせしました、竹の子おにぎりセットになります」

優奈が、ゼノンの前に幾つかの皿が乗ったトレーを静かに置く。

勇矢「(さて、どんな反応を返して下さるでしょうか…)」

優奈「それでは、ごゆっくりどうぞ」

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勇矢「仏教には、ことさらに他の命を奪う事をよしとしない不殺生の戒律があります。肉を入れないのはその為ですね」

「後、お坊様の頭は剃っているだけですよ?」

優奈「ふわぁ…和食って、奥が深いんですね…」

ルビー「食の歴史は、人の営みそのものですからね」

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優奈「…どうなの?アミクス」

アミクス〈ミロク因子についての知識は、そこまで理解が及んでいないのだけど〉

〈イレギュライザー…厳密には、”オリジン”のそれに近い能力の発現過程を経ていると推測する〉

勇矢「…これは、専門家の意見も仰ぐべきでしょうね。現状では、推測の域を出ません」

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優奈「吸血鬼…!?」

勇矢「(大鳥警部が感じていた、千菊さんが持つ強さへの違和感…これが、その正体ですか)」

アミクス〈成る程、確かにオカルトとしか言いようが無いわね〉

〈ところで…「羅刹天事件」で羅刹天が使用した”黒炎”。あれは千菊さんの力だとゼクロス先生は言っていたけど、本当?〉

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優奈「…っ!?」

有り得ない光景に、優奈達が息を呑む。
当然である。千菊の手に大きく拡がった筈の切創が、痕も残さず消え去っていたのだから。

勇矢「傷が、一瞬で塞がった…!?手の甲全体に拡がる傷だったはずですが…」

アミクス「イレギュライザーの力…ではないわね。身体的要因によるものか」

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優奈「…よし、っと。お待たせしました、お持ち帰りの苺大福になります」

優奈がシホに向けて、プレゼント用のラッピングがされた苺大福の箱を差し出す。

勇矢「ランチタイムもそろそろ終わりですね。店内のお客様がお帰りになったら、我々もお見舞いの準備をしましょう」

優奈「はいっ」

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ゼノ「じゅるり…はっ、今は我慢…はむはむ…」

ルビー「自分の分を注文すれば良いでしょうに…」

勇矢「申し訳ないのですが、せめてランチタイムが終わるまで我慢して下さい。ゼノさんの空腹を満たす頃には、材料が尽きてしまいますので」

優奈「有理沙博士も、試行錯誤している最中なんですよね」

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勇矢「そうですね…敢えて言うならば、アイバ課長にも春が来たのでしょう」

優奈「ワイルドアスロンの時も、楽しそうでしたからね」

ライト「ワイルドアスロン…話は聞いたが、よく楽しめる競技だった様だな」

優奈「うん。ライトもワイルドエリアに行ってみると良いよ」

ライト「機会があればな」

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勇矢「どうやら、この御仁は技を見る眼力も確かなご様子。ナナイロの皆さん、指導を仰いでみては如何でしょう?」

優奈「(…この場に望くんが居たら、どんな反応をしてたのかな…?)」

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優奈「かしこまりました。苺大福、人数分お包みします」

勇矢「ありがとうございます。月に一度か二度の和風メニューの日…という事で、お茶には特に拘っております」

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優奈「うーん…服…は、気に入った物があれば、ロキちゃんならコピーしちゃうし」

勇矢「そもそも、彼女の趣味趣向がよく分からないのですが」

アミクス〈確かに難しいわね…。新しい機体とか、装備プランとか?〉

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優奈「そうですね…病院で食べるなら、大福とか、羊羹みたいなお菓子が良いでしょうか」

勇矢「ふむ…でしたら、苺大福などお包みしましょうか?」

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優奈「お待たせしました、けんちん汁セットになります」

二つのトレーを持って歩いてきた優奈が、手慣れた所作で本郷達の前にトレーを置く。

炊いてからまだ時間が経っていない白米と、作りたてのけんちん汁が湯気を立てている。

「ご飯はおかわり自由なので、足りなければお申し付け下さい」

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