(とうとうオーバードースの真横に並んだ)

(しかし邪龍の残滓はそれに反応を見せることはなく直進し続けている)

…ッ!シカトしてんじゃねぇぞコラァ!
スコペンドラ!コンテナ開放!

(スコペンドラに連結された大型のコンテナが開いていく)

「やっちまえ」…!

(連続した銃声)(砲撃音)

4 25

【同時刻】

(衝突音)

ウオォラァああーッ!!
捕まえたぁーー!

(ボロボロのスカベンジャーが、最後のシスターズにライフルの先端を叩きつける)

(銃声)!(銃声)!(銃声)!

(倒れたシスターズに残弾を全て撃ち込むと、機体は地面と頭部がシェイクされて動かなくなった)

4 21

《俺が!何時間連続で働いてると思ってんだーッ!?》

(振動は段々と大きくなる)

《どけ!どけ!どけ!…》

(無線と同時に喚き声が直ぐ近くまで迫る)

どぉけェェーー!!

(消えかけていた霧を全て吹き飛ばしながら現れたのは、VFの運び屋66が操る、スコペンドラ・アリシーダであった)

4 21

【43秒後】

《…!…!!誰か応答するんだ!》

(至る所で黒煙が立ち込めている)

《何があった!?おい!応答せよ!》

(無線からは寺島の声だけが響いていた)


はーい…もしも~し…
こちら…ニコラ・テスタロッサ

(地面に仰向けに倒れたテスタロッサがそれに応える)

3 23

後ろだッッッ!!
テスタロッサーーーッッ!!!

…え?

(閃光)

(暗転)

6 29

よっしゃああッ!!

《大勝利~》

ハイハイ、はしゃがない
L君とスカージ君の安否確認を…

(ラディーレンが地面に倒れ込む)

ニーナ君生きてるかい?

もう…限界…
誰か回収してぇ~…!

ハハ…ッ

(気づけば周囲の霧はすっかり薄くなり、頭上から木漏れ日のように日の光が差していた)

3 24

(分断された上半身が落下を始める)

《仕上げだ…やれッ》

--はい、おかーさま--

(クラシックキメラのブレードが閃く)

--あ…?ああ…?お父…様…--

(斬撃音)(斬撃音)(斬撃音)!!
(振動)

(オーバードースの半身は空中でズタズタに切り裂かれ)

(重たい音をたてながら地面に倒れた)

6 28

(刃の回転数が上がっていく)

(飛び散る火花は、まるで打ち上げられた「花火」のようだ)

(やがて装甲が砕ける鈍い音と、内部機関が潰れて破損するくぐもった音が聞こえると…)

(バニティレックスは一層強く顎を噛み絞めた)

--■オ■■オオォーーッッ!!--

(断裂音)…!!!

5 26

(レールガンの直撃さえ耐える装甲と重力の力場)

(しかしバニティレックスの攻撃は銃弾とは違う。ゆっくり…しかし万力の如き力を込めて行われた)

--ああ…ッ!あ嗚呼アアアアあぁーッ!?--

(閃光が上空に伸びる)

(苦し紛れに虚無砲をいくら撃っても、射出口は真上に固定されている)

4 26

(見るとオーバードースは「ピストル」ような形で人差し指をこちらに向けている)

(虚無砲の射出口が音を立てて開く)

--「ばーん」--

(閃光)
(虚無の光が眼前に迫る)
(マッド・オルトスは全力での回避行動)
(右の頭部が僅かに抉られる)

(瞬間)

(その背後から別の光が疾った)

3 25

(凄まじい衝突音。火花が飛び散り、一刀、また一刀とその刃を受け止める)

(マット・オルトスはすかさず超重力砲を押し込み、ゼロ距離の砲撃を仕掛ける)

--…!--

(が、その刹那。オーバードースの腹部が発光をしていることに気づく)

(回転の最中。既に射出準備は完了していたのだ…)

3 21

--や、やっと着いたぁ!--

--到ッ!着ッ!--

--■■■■■ーーーッッ!!!--

(それはテスタロッサ隊からはぐれたヘキサギア。クラシックキメラ、マット・オルトス、そしてバニティレックスの3機であった)

5 29

(ガタガタと機体を揺らしている)

完全に狂って…いや
壊れているね…

(思わずイカルがそう口にした)

テスタロッサ…!

来るなッ!ソーン君!

(加勢しようとするソーンをテスタロッサが止める)

大隊本部に通信を試み続けて!
この霧はもうすぐ晴れる…
それまで粘れば
僕達の勝ちだ!

3 20

--私…そう…私は…「祈り手(アンブラハンズ)」…都市制圧型ヘキサギア…オーバードース八百比丘尼の管理IA--

機体のIAだと…!?
破損していたんじゃ…いや
今のショックで…表層に現れたのか!

(オーバードースは独り言のように続ける)

--世界は未だ三災の渦中。御仏の導きは遠く…--

3 22

(たった今ゼヒレーテの腕を断ち切ったのは、そこから伸びる巨大な4本の超振動ブレードだ)

(それはルシア隊とイカル隊が遭遇した「案山子」と「ライオン」の2機を掛け合わせたような姿であった)

--戦術濃霧散布装置「MIX」の破損を確認…自己修復困難…--

(機体が「声」を発した)

3 23

(全てが一瞬の出来事で)

--え…?あ…あ嗚呼ア"あああぁッッッ!!!--

(一息遅れてゼヒレーテから絶叫があがった)

3 23

((衝衝撃撃音音))ッッッ!!!!

(飛び散る金属片)

(その瞬間)

(オーバードースの背中の散布機関は、根本から切り落とされ完全に破壊された)

やった…!

(それは、この作戦の象徴ともいえる「霧の海」の終わりを意味するものであった)

(立ち込める硝煙)
(蠢く音)

6 27

~~~!!化け物めッ!
舐めるなよ!
(鋭い金属音)!

(Lは自ら実大剣で左腕を切断。口から逃れ)

(刃が捩じ込まれる音)

(即、その刃をオーバードースの左目の一つに突き刺した)

《ギィィ!!?ンアァァッッッ!!!》

(全員の無線から響きわたる悲鳴)

4 23

(ラディーレンが真っ先に飛び出し、その次にケストレル、ゼヒレーテが続いた)

フラム!だからソーンを追い越すな…ってうわぁ!?
で、でっかぁーー!?

ハハッ!コレがオーバードース君か!

つーか…一番乗りじゃ無くね?
せいぜい「3番乗り」?

--何ィ!?野郎…!ブッ殺してやル!--

5 27

(水墨画に絵描かれた「龍」のように、オーバードースは淡い霧の海を優々と泳ぎまわる)

(まるでオーバードースの周囲だけ「重力」が出鱈目に働いているようだった)

(銃弾は確かに当たっている)

(だが命中したソレは、それが持つ本来の威力とは程遠いものであった…)

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