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真っ白で何もない場所…そこにいたのはかつて春斗が妄想していた「雪華の彼氏=イケメン君」であった。
ひさしぶりにみる彼は、春斗に対して気さくで明るい笑顔を向けてくる。きっと今になって彼が春斗の妄想に出てきたことには何か意味があるのだろう。だから、春斗は彼に近づいていき
雪華とのクリスマスからほぼ引きこもり状態になっていた春斗…そのまま年が明けてしまう。家族(特に妹の美桜)は気を使って何度も何度も彼に声をかけるも春斗は無視をしていた。罪悪感と虚無…、元々妄想力が豊かな彼だ…そうした環境は彼を更なる思考の沼に落として行った。
昨日までのまだ希望があった時とは違う。
すべて終わった今では、雪華に対して未練を抱くことは許されない。というよりもその未練を断ち切る為にした行動だったはずだ。修復は不可能だ。
なのに、なぜ今もこんなに心が晴れない。なぜ「まだ好き」なのだろうか?
温泉川である。彼は雪華の顔をみると緊張した面持ちで彼女に問いかけた。今日は夏の海での告白に対して返事をくれると聞いていた彼、少しは期待してもいいのかと彼女にその目を向ける。雪華は答えた…
……それは春斗が帰った後、呆然自失とした雪華はしかし、スマホを取るとどこかへ連絡をとった。
約30分後、近くの公園へと向かうと「その人物」は寒空の下、彼女を待っていた。
長い長い沈黙と了解の言葉の後……雪華は笑いながら涙をこぼしていた。
雪華「ま、また振られちゃった…♪え、えへへ…♪」
そのあまりにも美しい笑顔に春斗の心臓はじくじくと痛むのだった。
実は、今日、春斗がこの場所に来たのは「過去の過ち」に対してけじめをつける為だった。
それは「6年前、雪華を傷つけたことに対する謝罪」
その上で彼女への想いを断ち切るつもりだった。
謝りたかっただけなのにいま現在も彼女を傷つけてしまう彼では、彼女に相応しくないと思ってしまったから…
【なんで自分の事なんかを好きなのか?】
その理由がわからない。自己肯定感の低い彼は、どうしても雪華の言葉を信じることができなかった。
雪華「大好きです♥春斗君…♥愛してます♥子供のころからずっとずっと♥私を…貴方のモノにしてくれませんか?♥」
それは「告白」であった。
それは彼女がずっと内に秘めていた子供の頃からの夢であった。
混乱と興奮で戸惑う春斗を他所に雪華はついにそれまでずっと秘めてきた想いを彼に打ち明けた。すなわち「子供の頃に胸が小さい女の子と結婚できないといわれたので、頑張ってバストアップした」ということ。
そして現在、Mカップにまで成長したが、それらはすべて春斗の為に頑張った証だということだ。
雪華「ねぇ…春斗くん?目を瞑ってくれる?」
まるでドラマか何かのワンシーンのようでドキリとしながらも「まさかそんな事…」と思い直して、言われた通りに目を瞑る春斗。少しだけ何かが擦れるような音が聞こえてきて、ゆっくりと雪華の息遣いが近づいてくるのを感じ、それから「何か」が手に触れた
その言葉に雪華は少し考えるような顔をし、やがて「最近思う所があって…だからそろそろ子供の頃からの夢を一つ叶えてみようかなって思ったの」といった。
春斗のはそれがどういう意味を持つのかわからなかった。そんな春斗の様子を見て雪華は微笑むと、次のようにいった。
そんな奇妙な状況に戸惑いつつも、しかし、これがチャンスであることを察する春斗。ここ最近、ずっと「考えていたこと」、雪華に「言いたいこと」。
それを今の状況ならいえるのではないか?
心臓が脈打つ。春斗は緊張しながらも少しずつ言葉を口にする。
そんな時に持ち込まれたチャンスに春斗は浮かれていた。とんとん拍子に話が決まって、いざ当日クリスマスプレゼントを買ってから雪華の家を訪れる。すると奇妙な事に気が付いてしまった。クリスマス会…と銘打っているものの参加者はホストの雪華と春斗だけ。
そうこの場にいるのは「二人」だけなのだ
そもそものきっかけは妹の美桜であった。彼女が「今年お世話になったお礼に雪華ちゃんがおにーちゃんとクリスマス会したいって」と教えてきたことが始まりである。夏の海以来、挨拶程度の会話は何度かしたがそもそも春斗は雪華の連絡先をしらないので、接触頻度が少なかったのだ。
訪れた先は彼の初恋の想い人である「高嶺雪華の家」である。すぐ近くにありながら、かれこれ6年以上も訪ねることができなかった場所……そこへ「特別な夜」にいくことになるとはどういう運命だろうか?