山茶花の赤き裏木戸
 より出でて
  出かける人を見たる午後かな

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我が膝に乗らむとすれど
 力尽き
  極楽猫めそのまま寝たり

6 47

一面に
コスモス植えて
放棄せる
 田の魂は
 鎮まりしかや

ぼくのところでも耕筰放棄の田が目立ちます
田は泣いています
せめてもの罪滅ぼしでしょうか
一面にコスモスを植えているところもあります

9 54

冬ざれの野行けば自転車
 捨ててあり
  ブッチが置いて行っ た如くに

7 51

曇り空落葉払いて庭下駄を
   履かむとすれば緒が切れてをり

7 38

限りなく真白に近き薄緑
      冬の始めの大根の色

6 53

倉庫の戸開ければさっと冬の陽の
      差し込む速さ猫も負けたり

そりゃ負けるでしょう 光は秒速30万キロ・・

7 48

手袋を出せば続きが
 始まるよ
  冬物語今年の巻が・・

さて今年の冬物語
シェイクスピア翁もびっくりのそれとなることでしょうか・・

8 45

しくじりを
悔いつ帰れば
鵙の声
 笑うがごとく
 降り来たる午後

鵙は秋の季語で今はもう冬ですが・・

6 50

隣家もう猫一匹と
 おひとりの
  住いとなりぬ冬を控えて

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猫達が町内会を
 始めれば
  暦はすでに冬に入りたり

7 42

手悪さでドアの間に
 挟みたる
  切符忘れぬ池上線で

「すみません 切符なくしたのですが・・」
幸い五反田からの下り戸越銀座までだったので最低料金だけ払ってですみましたが・・
「池上線」「千登勢橋」の西島三重子さんもなんと69才❣

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柿食えばチャイム鳴るなり
 千三つの
  ヒットを探す骨董屋さん

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秋風にこそと動けど
 虫ならず
  げに不思議なるものぞありける

5 42

境内で仰ぐ風鐸
 その上に
  雲遠く浮き秋終わりゆく

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真白なる牛乳飲みて
 始まるは
  十一月の一日の朝

7 53

かさこそと走るは栗鼠かきのこ山

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久方に麦とろ食いて
 美味きこと
  逃げた女房もどこへなと行け

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