勇奈「そうだよ?」

優奈「そうじゃないよぉっ!?」

望「いや、あの…流石にまだ早いと思うんだ…」

静治「あー…ブラックコーヒー飲みたくなってきたわー…」

望「す、すみません…」

静治「良いよ良いよ、存分に青春しなさいって。君達みたいな少年少女が青春出来る様にするのが、俺達の仕事さ」

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望「…はい」

勇奈「でも、やっぱり”いつも通り”にはならないよ」

「だって、あたし達の関係が変わったんだから。まずは、望の家族にあたし達を紹介しないと駄目だろ?」

望「っ!?げほっ、げほっ!?」

優奈「勇奈ぁ~っ!?」

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静治「(おー…怖い怖い…。母は強しってか)」

望「………」

優奈「望くん?」

望「…姉さんが帰ってきたら、またいつも通りに、家族のやり取りが出来るのかな…って」

勇奈「いつも通りにはならないでしょ。色々と変わったんだから」

望「…そうかも知れないな」

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静治「頼らずに済めば、それに越した事は無いんだがね…。ま、何かあったら当てにさせて貰うさ」

「じゃあな少年少女。引き続き、青春を楽しんでくれよ?」

静治が軽く手を振り、煙草を咥えつつその場を去る。

勇奈「さてと…あたし達は新居に行かないとね」

優奈「そうだね。荷物を運び込もう」

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優奈「その…色々あったので…」

勇奈「自己肯定感の低い所は、相変わらずだけどね…」

静治「………」

望「…大鳥警部?」

静治「…気にしなさんな。ちょっと、考え事をしてただけだから」

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静治「おーおー、暑い暑い。いやホントに気を付けろよ、少年?」

望「は、はい…」

静治「さてと…んじゃ、俺はそろそろ行くわ。悪いね、デート中だったのに時間取らせちまって」

勇奈「…別に?優奈が突っ込んで行っただけだしね」

優奈「あの…気を付けて下さいね?」

静治「心配しなさんな」

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望「な、なるほど…」

勇奈「ま、望はあたし達のものだからね。誰にだって取らせやしないさ」

優奈「い、勇奈ぁ…!」

静治「うーん…なぁ少年、この現状をどう思う?」

望「………楽しいし、嬉しいですけど。色々と悩むのも否定出来ません」

静治「はぁ…贅沢な悩みだねぇ…」

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勇奈「…言い得て妙だね、あたしはメモリに作られた人格だし」

望「このメモリを使う事が、メモリになる事なら…レヴァイアは、一体何の為に…?」

優奈「私達は、私達。メモリの事は関係ないよ。私も、勇奈も、望くんも、ゼノちゃんだって」

静治「(…今を変える為に、自分を捨てられない…か)」

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静治「ま、当面は警戒を続けて、動きがあれば対処するさ。元々、警察ってのはそういうもんだ」

望「僕達に協力出来る事があれば、何時でも言って下さい」

勇奈「…いや、望は何となく駄目な気がする」

優奈「私もそう思う。何となくだけど」

望「え?どういう事ですか…?」

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静治「聞けるものなら聞いてみたいね。問題は、彼女在る所イレギュライザーのファン在り…って事だけど」

勇奈「うわぁ…」

優奈「ライブ会場に居る人だけでも、百人以上居ますよね…?」

望「この人達が一斉に襲い掛かってくる場面なんて、想像したくないな…」

静治「俺だってそう思うよ…」

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静治「だから、現状では何が起こるのかとヒヤヒヤしながら監視するしかないのよ。君達が言うように、湿気た面にもなるでしょ?」

勇奈「まあね。待ってるしかないってのは、もどかしいもんだ」

優奈「…そもそも、彼女はどうしてこんな事をしてるんでしょうか?」

静治「そこも難しいよねぇ…」

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勇奈「そもそも、DSイレギュライズメモリってのは所有者の有り様によって能力が変わる」

「望が一つのエリアを作り替えた様に。優奈が、イレギュライザーの怒りを鎮めた様に」

望「だから、分からないんです。”適合者”がメモリの力を使うまで、何の力も無いから」

静治「…なんつー厄介なモノを…」

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静治「そんで…先の救出作戦の時、いつの間にか俺の手元にあった”これ”ですよ」

苛立ちを隠そうともせず、懐から一つのメモリを取り出す静治。
そのメモリには、〈コンダクター〉という銘が刻印されていた。

「ちなみに、このメモリが持つ能力は分かった?」

優奈「…現状では分からないそうです」

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静治「…ちょっと失敬」

静治が煙草に火を付け、一服。人気の無い方に煙を吐き出して、優奈に目を向ける。

静治「あ、そうだ。優奈ちゃん、”例のメモリ”はどうだった?」

優奈「はい。有理沙博士に解析してもらったんですけど…DSイレギュライズメモリで間違いないみたいです」

静治「そっかぁ…」

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静治「俺はそう睨んでる。多分、君達の同類じゃねぇかな」

静治が優奈達一人一人に視線を向ける。

優奈「”例外中の例外”…!」

勇奈「…レヴァイアは7つのメモリを作ってるって聞いた」

「優奈とあたし、望、ゼノ、レヴァイア…そして、大鳥警部とこのアイドルの奴…これで6つか」

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静治「…元々、使わずに済むならそれで良いって思ってますよ。伊烏警視長が動いてくれたお陰で、警視総監も方針を転換しましたし」

「現状は監視に留めて、メモリ所有者に明確な動きがあれば対応するつもりです」

望「大鳥警部…」

優奈「………」

静治「…ゴメンよ、湿気た空気にしちまった」

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静治「よく分からないのがね…彼女、今の所明らかに”犯罪”と言える事はやってないんですよ」

「ただ…ライブの度にイレギュライザーのファンが次々増えていくから、これがどんな火種になるか分からない」

望「難しいですね…」

優奈「メモリを使っている以上、アンインストールも出来ない…か」

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優奈「アミクス、どう思う?」

アミクス〈推測だけど…何らかの条件でメモリに干渉し、そこからプレイヤーの電脳体を操るメモリね〉

〈状況を見るに、彼女…或いは、彼女の機体から発せられた音を聞く事が条件かしら〉

優奈「DSイレギュライズメモリなのは、間違いなさそうだね…」

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静治「俺達はそう睨んでます。しかし、これだけの広範囲と大人数を集められるメモリなんてのは、今までに無いケースだ」

静治がショウと優奈達へ交互に視線を向ける。

「しかし、見当が付かない訳でも無い。似たような物なら君達が持ってるだろ?俺もだけどさ」

優奈「DSイレギュライズメモリ…!」

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ショウの様子を一瞥した静治の目付きが鋭くなる。

静治「…貴方には分かりますか」

優奈「え?」

静治「このライブに参加してる参加者…画面を拡大して詳細分析した画像を見るとだ。ほら、パラサイトコネクターが付いてるんだ」

勇奈「…は?つまり、イレギュライザー達を集めたライブって事?」

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