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福岡発の文芸誌「たべるのがおそい vol.4」入荷しました!最新号のラインナップは、町田康さん、宮内悠介さん、山崎まどかさん、辻山良雄さん、都甲幸治さん、皆川博子さん、など。vol.1では今村夏子さんの芥川賞候補作「あひる」も生… https://t.co/Sp6jREpPXI
わたし、次に生れてくるときは、もう人間は飽きたから、ぜひとも卵生したいと思っているのです。
―澁澤龍彦『高丘親王航海記』
死者が、卵生なのよ。
―皆川博子「水の琴」
酢のような夕映えだからここにいるぼくらは卵生だった きっとね
―佐藤弓生『薄い街』
あの紫は
お池の杜若
水の面に、手が、咲いている。
一つ橋渡れ
二つ橋渡れ
三つ四つ五つ
儚い青い葩は、夕映えと色が溶けあい、紫に染まりながら、
杜若の花も
六つ七つ八つ橋
―皆川博子「あの紫は」
写真:Natalia Drepina
抱いた竪琴に頭をもたせかけ、女は眠っているように見える。それとも、糸の切れた楽器が奏でる、他者には聴こえぬ楽の音に身を委ねているのだろうか。身にまとった羅衣の繊細な皺は、女の全身をひしひしと縛る糸のようでもある。(皆川博子『蝶』より「妙に清らの」文芸春秋)
マニキュアを落としたら、透明な爪と指の肉のあいだのわずかな隙間が水にみたされ、何か泳いでいる。
―皆川博子「断章」
爪剪(き)る夜 父母(ちちはは)いませど孤りにてしたたれば見えぬみづ溜るとぞ
―山尾悠子『角砂糖の日』
写真:Mira Nedyalkova
【本日発売】ピエール・ルメートル『天国でまた会おう』(平岡敦訳)。戦場で出会った二人の若者。戦後のパリで苦しい生活を送るうちに、二人はあるとてつもない計画を立てる……。皆川博子さん、池上冬樹さんの推薦コメントをいただきました。