「映画で同じ時間を繰り返す作品あるでしょ?」
「ループね」
放課後の教室で友人と雑談。

「あんなのあり得ないよな。俺なら絶対そのループに気付くし」
風がカーテンを揺らす。

「10秒後、先生が廊下を走り去る」
「え?」
通り過ぎる足音。

「ほらね。この会話66回目だから」
「え?」

2 46



心は突然音を立てて崩れ去った。なんの前触れもなく、脆く、儚く。

心の柱は一本一本抜かれて、頑張ろうとするほど土台は不安定になった。

医師が私にジェンガをしようと言う。
「ほら。今の君はこんな感じ。もう無理をして上に積むのをやめようか」

涙が溢れ、私は何かから解放された。

5 46



人間界に落としてしまった神器のうち、最も危険なのは鏡だ。

あれは姿を写すための道具ではない。似て非なる世界を創り出すもの。

鏡に写す自分と正反対の自分がもう一つの世界に生まれてしまうのだ。

とりわけ、私は鏡の中の世界で犯罪を繰り返す。よほど、現実世界の私は善人らしい。

5 42



凄腕の花火師は腕を組み、導火線を見つめていた。

真昼間の河川敷に集められた数千人。史上初の昼の花火大会を開催したのだ。

花火師は素早い動きで火を放つと、打ち上がった花火が上空で盛大に弾ける。それと同時に牡丹型の闇が広がった。

湧き上がる歓声。人々は漆黒の光に酔いしれた。

0 31



バリ島で絶滅した『バリトラ』。
魔道士はその長き眠りから虎を解放した。地中深くに埋めた氷の塊を取り出し、そっと溶かした。

虎は喜びのあまり涙した。

環境や人間の台頭で絶滅したとされる種は、実はこうして解き放たれる時を待っている。

魔道士はそのためだけに生きる事を決めた。

2 33



凄腕の刑事は悶絶していた。次々と名乗り出る犯人の誰を信じるべきなのか。

今まで人を疑ってばかりきたが、これだけ素直に犯行を認められると犯人には思えない。

『自白』誰かを庇っているのか、本当に犯人がいるのか。全員供述も一致している。

「あぁ、もうみんないい人に見えてきた」

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月の満ち欠けが太陽との位置関係によるものだと説明されていたのは大昔の事。

人類はそれが月面での戦争だと気付いた。戦局により領土が大きく変化するのだ。

光軍と闇軍の壮絶な戦い。闇が光を飲み込む時、子供達は月の存在を忘れてしまうだろう。

だからこそ我々は満月に魅力を感じる。

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美味しい言の葉で
ひと息つきませんか?

◇週一お題◇

「淑気満つ」

開始 1月07日(月) 21:00~
締切 1月12日(土) 23:00迄




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ウサギは空を飛べないなんて、誰が言ったんだい? できないって決めつけちゃったら、なんにもできなくなっちゃうさ。まずはやってみることだよ。ほら、見てごらん。今まで知らなかった世界が、こうして目の前に広がっているじゃないか。どうやって降りるかは、また別の話だけどね。

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今日も釣れないな。ちぇっ、ついてないぜ。でも、また明日挑戦してみよう。諦めるために始めた訳ではないからね。そうだ、明日はアレを使ってみよう。アレならうまくいくかもしれない。だって僕の大好物だもん。これは大漁の予感!明日が楽しみだね。

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とある昼下がり。熱い珈琲の入ったマグカップを持とうとした瞬間、マグカップは煙のように消えてしまった。「なんてこったい」とにかく零れた珈琲がかからないように立とうとしたが、手をついたテーブルも消えてしまった。「一体何なんだ?」私は頭を抱えると、不意に意識が……

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When I touched a mug, it disappeared like smoke. Table I touched also. I held my head, then myself also...

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勢いで描く。七歩さんの素敵twnovel、描いてみたいと思っていたのを、勢いで描いてみた https://t.co/qsDnwbAmp1

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