(秤、元気にしてるか。怪我の具合はどうだ。補習授業部は相変わらず過ぎて、目眩を起こしてしまったけれど。それでもみんな明るく笑ってるよ。いつかお前たちとも、そんなふうに笑い合えるといい。私はいつも、そう祈ってるよ)

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(アリウススクワッドは、人知れず姿を消した。羽沼はいい感じに焦げ、空崎は現役に復帰し、鷲見たちの団長も、百合園も帰ってきた。全て元通りとはいかないが、日常は少しずつ回復しつつある。──の、だが)

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「あの、先生」
「どうした、白洲?」
「あまりにおもしろおかしい幻覚が見えるんだけど」
「安心しろ白洲。この世界は案外おもしろおかしいものなんだ。──そうだろう、ミス・ファウスト?」

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「元気でよろしい。だがもう少しその元気は取っておけ。お前らが無事なのが私の一番のエネルギー源だからな。──羽川と一緒に待ってろ。羽川と仲正と静山と……この学校を、頼む」

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「空崎、そんなになってまで──」
「正義実現委員会、時間を稼いで。今ここで彼女たちに先生を渡すわけにはいかない」
「不本意ですが仕方ありません。先生を頼みます、空崎ヒナ」
「空崎さん、も、お気をつけて」
「──生きて帰れたらお茶でもしましょう。先生の奢りで」

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(これは……この倒れ方、使い魔か? 明らかにまともな生命体じゃない。キヴォトスにこれだけの規模の魔術を使えるヤツがいるのか? まさか──ゲマトリア?)

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「羽川、剣先。……無事でよかった、とは言い難い様子だな」
「現状、他のメンバーとの連絡はついていません。先生は……」
「アロナが……シッテムの箱がオチた。本体にダメージはないが、早瀬との連絡が取れん。音瀬印の盗聴器もイカれたようだな」

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「私には守護天使がいるんだ。そいつのおかげだよ。……恥ずかしい話だが、ご覧の有り様だ。若葉、お前さんのかっこいいところ、見せてもらえるか?」

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「助かったよ、剣先。流石に頼もしいな」
「ど、どういたしまして……みんなピリピリしていますので、気をつけてくださいね」
「ああ、了解。羽川たちにもよろしくな」

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(調印式当日。クロノスのレポーターがかしましく実況する中、威儀を正した両校の代表団が向かい合う。一触即発の緊張感の中、長い長い一日が、始まろうとしていた)

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(かくて、補習授業部は不可能を可能にした。だが百合園は更なる暗雲を予言する。──アリウス勢もあれが全力とは思えない。エデン条約をめぐる争いは、きっとこれからが本番だ)

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「シスターフッドの総力とは……浦和め、無茶をしてくれる!」
「御形先生! けほ、遅くなりました、マリーです! サクラコ先輩以下シスターフッド勢! シャーレと補習授業部をお助けします!」

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「聖園、貴様──そこまで堕ち果てたか!」
「堕落って言うならナギちゃんの方がよっぽど堕落してるよ。だからあの子には少し休んでもらう。それで、アリウス分校と手を取り合った新しいトリニティが生まれる。ほら、ちゃんとしてるでしょ?」

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「やぁやぁ先生。夏はやっぱり温泉だよね?」
「いや待て間宵、あの荒れ野に温泉だと?」
「ちょっと色々あってね。条約周りが落ち着いたら遊びにおいでよ」
「あ、ああ、善処、するが……」

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(伊落が白洲のトラップで爆散しかけたある日。浦和と阿慈谷が私の部屋で正面衝突を起こした。浦和はここぞとばかりにいつもの浦和節で周囲を煽る始末。白洲が台風の目なのはなんとなくわかるが、なんでいちいち誤解を自分から拾いに行くんだ、このどピンクたぬきは)

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(案内された畑は見事なものだった。火の国ゲヘナの恵みを受け、輝かんばかりの実りが眼前に広がる。これほどの菜園を育て上げたこいつは、さしづめ豊穣の女神だろうか。間近で微笑むと、我らが女神殿はトマト顔負けに真っ赤になるのだった)

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「物騒な道具を出してくるから何事かと思ったよ。料理が不得手なら食材を育てるとは考えたな。えらいぞ、牛牧」
「ありがとうございます。うちの自治区、アメリカのハワイとか日本の鹿児島に農業使節団を出してるんですよ」
「火山つながりか。さもありなん、だな」

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「早まるな牛牧。何があったのかは知らんが、まず落ち着いて6秒間待つんだ」
「? 先生、『剛腕! ローラーダッシュ村』とか『テラフォーミングはじめました』とかご存知ないですか?」
「……? DIY番組が何か関係あるのか?」

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(本部の癒しとしてペットロボットを注文した。受け取りを白石に任せていたのだが、その間に本物が迷い込んでくる始末。白石は早合点してアップダウンに忙しかったが。ヒトと見紛うガイノイドを教え子に持つ身としては、マシンと生命の境界を考え込んでしまうのだった)

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「鎧を外せる場所、か。そう言われたら、流石に見なかったことにするしかないな。──私からもいいか?」
「なんです?」
「おすすめを教えてくれ。なるだけカプサイシンに縁がないとなおいい」

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