彼らが美酒を好み、それらを貯蔵しているは良く語られることです。アイルランドにはウイスキーの酒蔵に棲みついたり、その上前をちょろまかす者もいます。樽の口開け最初の一滴を彼らに捧げる風習も。そして中にはお酒に身を持ち崩し、性質が変わり邪妖精になる者もいるそうです。

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翻訳された妖精譚を開くと、時々妖精のことを「シーの民」と表記されたものがあります。シーとはすなわち妖精を指すゲール語の『Sídh』。そして彼らの棲む妖精丘をシーヘン(Síthean)と言います。妖精丘を作法に則り外周を回ったり、とある魔法草で斜面を叩けば扉が開くとも。

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ある種の妖精たちがアイルランドなどの古い神々と関連があるのは良く知られています。特に海神マナナン・マク・リルは常若の国、林檎の島などの王とされています。彼はあらゆる色に変化する海原のマントを羽織り海原を馬車で駆け、光明神ルーにフラガラッハ(アンサラー)という 続

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人と妖精の関係には様々な事件や出来事がありますが、どうやら妖精たちの間でも同じのようです。ある川には性悪な妖精が棲み着いていて、溺れる人の声真似をして、助けに来た人を逆に溺れさせていました。ある時、良い妖精が犠牲者を助けに入り、邪妖精を川に沈めたとか。

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昔、ある大地主が、雌牛を育てる貧しい修道女をからかってこう言いました。雌牛を育てるのにどれだけの土地が必要なのだ? すると修道女は私のマントの広がった分だけ、と答えました。地主は、それだけか? ならくれてやろうじゃないかと笑いました。

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明日はインボルグ。アイルランドの立春です。聖女ブリジットの祝祭で、彼女の本質は詩作、鍛冶、そして春の女神ブリキッド。そしてこの日を象徴する花はスノードロップ。まだ冷たい大地から咲く白い花は山羊や牛の乳を表すとか。春の妖精たちもそろそろ起き始めます。

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ロビンフッドと言えば、バラッドに登場する緑林の礼儀正しきアウトロー。義賊の代名詞的存在ですが、時代が経るにつれ、五月祭の森の王。夏の王様。そして森の精の名前とされてるようになりました(諸説有ります)。強きを挫き、弱きを助けるその姿は1つの信仰でもあったようです。

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家憑き妖精に無闇に名前を呼んだり、お礼をすると出て行ってしまうというお話はよく聞かれますが、中にはお礼を言ったが為に、あとの人生が不運続きなってしまったというお話が残されています。もちろんその妖精は、邪妖精の類いでしたが、やはり関わらないのが1番のようです。

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妖精譚でいう所の森の王と言えばオーク(ヨーロッパナラ)ですが、その精は赤いキノコ帽子を被り、小人の姿をしているそう。彼らの棲む森は、ブルーベルが咲き乱れていて些か危険。遠い昔、神聖な木とされたようで、名のある森にはキングスオークなどの古木、大木があります。

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妖精と死者の霊は時に別けがたいものです。例えばスコットランドに現れるスパンキーは、鬼火であるとも、邪悪なゴブリンだとも言われていますが、洗礼を受けずに亡くなった子供の魂だとも伝えられています。彼らは夏至前夜に新しい仲間を迎えに墓地に現れるといいます。

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妖精と音楽は切っても切れない間柄です。
とある吟遊詩人が妖精郷で手にした竪琴は、寸分の狂いなく、詩人が望んだとおりの音を奏で、調弦も望むままだったとか。それが音楽家にとって良いことかどうかは分かりませんが、やはりあちらのすべてのものには魔法が宿っているようです。

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妖精に寿命はあるのか。多くの妖精学者などが様々なことを伝えていますが、ある詩人が視たという彼らの葬列は、えもいわれぬ香りとともに登場し、その小さな亡骸は薔薇の花びらに恭しく乗せられていたそう。さて彼らには寿命があるのか、はたまたこの世が終わるまで死ねないのか。

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剛胆な者はいつの時代にもいる者で、ある男は妖精の市に迷い込み、そこで見かけた黄金のジョッキを盗んで家に駆け戻りました。しかし改めて見てみると、それはジョッキなどではなく毒キノコ。男はそれ以降、死ぬまで足が悪くなったと言います。

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大晦日です。アイルランドでは国中の妖精がその年にあった事を妖精王に報告すると伝えられています。(この場合は古い暦としての大晦日ハロウィンですが)
皆さんは妖精王に報告するとしたら何を話しますか?

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彼らに招かれる、森に迷うなど、妖精郷への行き方は多多ありますが、方法として簡単なものは、満月の晩に妖精塚を三度廻る事でしょうか。そうすれば彼の国への扉が見つかるそう。音楽に溢れ、黄金と水晶で出来た彼らの王宮が見つかるかも知れません。

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今宵は聖夜です。
アイルランドのとある地方では、今夜のご馳走を少し残しておいて、台所や床に置いておくそう。それはそっと訪ねてくる妖精たちへの贈り物になるそうです。
どうぞ皆さま、良いクリスマスイヴをお過ごしください。Nollaig Shona!

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日々のことや道具などを粗雑に扱うと、妖精が抓りに来たりすると言います。それをフェアリーピンチングと言いますが、どうやら家憑き妖精のブラウニーやシルキーが行っているようです。彼らは家を守り、ひいては血筋を守護していますが、なかなかのスパルタな部分もあるようです。

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口説き妖精の口付けが乙女の命を奪うという逸話がアイルランドにはありますが、彼らに触れるという行為は、様々な影響を人に与えます。視線を交わすだけで、耳元で囁くだけで、家族や故郷など、全てのしがらみを忘れさせる彼らの魅力こそが最も危険な武器なのでしょう。

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エルフと言えば、RPGやファンタジーに欠かせない存在ですが、北欧の彼らは時に危険で、人を攫ったり、投げ矢で人を傷つけたり(リュウマチやぎっくり腰など)、また家畜を拝借したりします。ですが彼らはみな美しく、とりわけエルフの娘は白いヴェールを被りみな美しく魅惑的だとか。

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日本には神無月があり、日本の神様が出雲に集まると言われていますが、スコットランドのブラウニーの仲間は、とある湖近くの洞窟に一堂に会するそうです。それは決まった日時だと言われていますが、もちろん人がそれを覗いたりするのは御法度であります。

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