ーBNDDオンラインカフェ〈ペルシュ〉ー

白銀が店の様子を見ていると、1枚の張り紙がある事に気付く。

〈本日、マスター不在の為、提供メニューを変更の上営業中。〉

店内では、勇矢と優奈が和装姿で店を切り盛りしているようだ。

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優奈「はい。おにぎりセット、お茶は温茶ですね。少々お待ち下さい」

優奈が一礼し、厨房に向かう。

「おにぎりセット、たくあんと温茶です」

勇矢「ご注文ありがとうございます。では、早速」

厨房では、勇矢が慣れた手付きでおにぎりを作り始める。

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優奈「いらっしゃいませー…あ、シホさん。こんにちは」

勇矢「ご無沙汰しております。席は空いていますので、お好きな所にどうぞ」

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優奈「それでは、ご注文がお決まりになりましたら、お申し付け下さい」

お冷やを置いて丁寧に一礼し、給仕服の少女がその場を離れる。

店内は少しずつ客が増えてきた様だが、静かに茶を楽しむ人や、店内で動き回るマスコット達に目を奪われたりと、反応は様々だ。

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優奈「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」

勇矢「席は空いていますので、お好きな所にどうぞ」

和装の給仕服を着た少女が客を出迎え、落ち着いた雰囲気の青年が厨房で急須の様子を窺っている。

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優奈「羊羹セットお一つ、緑茶は冷茶ですね?かしこまりました、少々お待ち下さい」

注文を受け取った優奈が、厨房に引っ込んでいく。

「羊羹セット一つ、緑茶は冷やでお願いしまーす!」

ルビー「お任せあれ」

勇矢「さて…やりますか」

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優奈「いらっしゃいませ、お一人様ですね?」

「席は空いていますので、お好きな所にどうぞ。お一人様、ご来店です!」

勇矢「ご来店、ありがとうございます」

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勇矢「引っ越しは無事に済んだのですね。新居が近所なら、我々も後でご挨拶に伺わなければ」

優奈「こちらがメニューになります」

優奈が用意したメニューには、羊羹、大福、抹茶パフェなどの和風スイーツが並んでいる。

「勇矢さんが厨房担当の時は、和風料理メインのメニューになるんですよ」

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優奈「いらっしゃいませ!…あ、海斗さん。こんにちは」

和装の給仕服を纏った優奈が、海斗に向けて会釈する。
そして、厨房からは勇矢の声が聞こえてくる。

勇矢「いらっしゃいませ。席は空いていますので、お好きな所にどうぞ」

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勇矢「では…フォース〈グリザイユ〉の負担を軽減するために、”フォースネスト”の件を月夜見商会やマクスウェル社に掛け合うとしましょう」

優奈「私達の、フォースネスト…!」

望「そう言えば、まだ特殊装甲運搬車を拠点代わりにしてましたね」

勇奈「良いじゃない。飛び切りの奴をお願いね」

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アミクス〈勇矢さん。この現状を憂いている暇があるのなら、優奈達の負担を減らす方法を考えて頂戴〉

勇矢「…耳に痛いご指摘、ありがとうございます」

…そうだ。戦いの中では彼女達に劣っても、自分に出来る事は他にある。

無力である事を、”何もしない事の言い訳”にする様な無様は見せたくない。

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どうやら、優奈達の実体には特に問題は無いようだった。
静かに安堵の息を吐いてから、勇矢は優奈達に頭を下げる。

勇矢「本当に申し訳ありませんでした」

「…本来なら、我々運営委員会の力で解決すべき事を、また貴方達に背負わせてしまった…」

優奈「いいえ、勇矢さん。決めたのは私達です」

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勇奈「あー…楽しかった」

望「色々あったし、ゴウさんはまだ大変そうだけどな…」

優奈「明日の放課後にでも、お見舞いに行こっか」

望「そうですね」

勇矢「では、お見舞いの前に〈ペルシュ〉に来て下さい。差し入れを用意しますので」

優奈「はい!」

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優奈「ゴウさん!」

勇矢「ログアウト処理後、アイバ課長を直ちに救急搬送!急いで下さい!」

保安部隊「はい!ストレッチャーを用意しろ!搬送先の確保も急げ!」

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優奈「殆ど同時だったみたいだし、同着でも」

勇奈&望「ダメ(です)!」

優奈「うひゃあっ!?うぅ…ごめんなさい…。アミクス、どうかな?」

アミクス〈ゴール前カメラの画像を分析してる、少し待って〉

〈……画像判定終わり。0.1秒差で、勇奈とマーシーの方が速かったわね〉

勇奈「…!」

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勇矢「合図は私が。位置について…3、2、1、スタート!!」

優奈「…っ!」

望「行くぞ、勇奈!」

勇奈「勝負だ、望!」

勇矢の合図と同時に、プレイヤー達がスタートラインから一斉に走り出す。

ある者は一番を目指し、ある者は仲間との対決に心を踊らせ、ある者はただひたすらに完走を目指す。

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勇奈「でも、マスターが言ってたじゃない。「笑って良いんだ」って」

「だったら、今くらいは存分に楽しんで、心から笑っても良いのかな…って思ったんだ。記録なんて、元々二の次だったしね」

優奈「…うん、そうだね」

望「勇奈…今度こそ、白黒付けようか」

勇奈「ふふっ…上等!」

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優奈達の機体も、次々とスタートラインに立つ。

望「修復パッチ適用を確認。各部モーター、負荷値確認…よし」

優奈「…ふふっ、びっくりした」

勇奈「何でさ?」

優奈「勇奈が、自分からあんな事言うなんて思わなかったから」

勇奈「…そうだね、今までのあたしなら言わなかったよ」

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保安部員「…参加者登録していた機体に、修復パッチを当てておきます」

「コースの数値初期化、もう少し待ってくれ!」

勇矢「…では…今から皆さんは、本コースのデータ保存作業を開始して下さい。作業が完了次第、撤収します」

勇奈「…ありがと」

優奈「皆、走ろう!」

望「はい!」

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ーワイルドアスロン運営本部ー

途中棄権扱いとなった優奈達は、参加者の中には入らず運営本部から拍手を贈っていた。

優奈「………」

勇奈「…この景色を台無しにされなくて済んだのは、良かったのかな」

勇矢「本当に申し訳ありません…全て我々の落ち度です。勇奈さんと望くんには、怪我まで…」

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