(荷台のハッチが開く)

ありがとよ!VFの!

(飛び出してきたのはガバナー「ビューフォート」が操るヘキサギア「ヤクト・インパルス」であった)

--急ぎましょうビューフォート。作戦開始時刻には…ギリギリオーバーで間に合います--

いやもう始まってるんだよ!?
ナル!急ぐぞ!

2 27

(単身で鬼神の如く戦い続けるハッシュ)

(だからこそ)

(「それ」は彼に)

--あっは☆ふふふ…--

(目をつけた)

(風切音)

(明らかに他の機体とは「異次元」の挙動で、1機のハーモニーズがスカベンジャーに急接近してきた)

は…?な!?

(斬撃音)(斬撃音)(金属を引き裂く音)

3 28

ん〜ん♪実に良い「舞台」だ…
ルーキー君
東に50mほど移動してくれたまえ
またまだ皆に私の「芸術」を見せなくては!

(小声)
だからルークだっての…!

(エンジン音)

〜♪(鼻歌)

(移動する間も引き金をひくと、その全てが数キロ先のハーモニーズに命中していく)

(正に芸術的であった)

2 23

……

(その時。3〜4機のハーモニーズが射線を逃れ、ゲーリックのアガリアレプトに急接近してきた)

--Aaaaーッ!!--

しまっ…!?

(しかし接触の寸前で)

(ライフルの着弾音)

〜〜〜!?

(着弾音)(着弾音)

(ハーモニーズはその頭部を撃ち抜かれて機能を停止した)

なんだ…!?

2 23

(レールガンの発射音)

あーっ!?
来るなぁーっ!来るんじゃねぇー!!

(悲鳴にも似た声を上げているのは、運悪くこの中央に連れてこられたガバナー)

(ゲーリック・セーブマンであった)

(彼は休む事なく撃ち続けてはいるが、撃っても撃っても敵機は一向に減る様子がない…)

3 26

(LAのグェンが操る「フライウィック」は斜面の中腹に陣取っている)

(機関砲の銃声)

(自慢の対空砲の水平射撃を接近するハーモニーズに浴びせていくと、敵機はその機体の一部を大きく消失させて崩れ落ちた)

(その手際の良さは正に「ハエ叩き(フライウィック)」に相応しいものであった)

2 25

(粛々と話を進める相手にカデーレが動揺を見せる)

--ハイ。勿論ですが?--

しかし…

--あ、そちらのブレードも交換時かと?--

(ジェイクの笑い声)
有能だなエクセラ!

クッ…分かった!
「全部」だ、一通り全部貸してくれ!

毎度あり〜☆
さあ持っていきな!

3 29

(シールドバッジュでのけぞる敵機。すかさずロケットランチャーを撃ち込む)

(爆音)(爆音)

(そうしてネクロファジーはカデーレを守る様に盾を構え、ハーモニーズ達の前に立ち塞がった)

(その姿はさながら「剣闘士」を連想させる)

ハハッ!
イカしたパーティー会場じゃないか!

4 33

(しかし流石に手数が追いつかない…)

(徐々にハーモニーズ達の勢いは増していく)

(実大剣もその刀身をいびつに刃こぼれさせていった)

隊長、一度下がるぞ!

クッ…! 

(その時)

(音漏れするロックのリズム)

(別のヘキサギアが1機。カデーレの後ろから目の前に「突っ込んで」きた)

2 32

(そして爆炎を乗り越えてくるハーモニーズは次々と機銃の餌食になった)

〜〜♪(フレデリクの口笛)
ワァオ…

(電子音)

(奮闘する2機を他所にフレデリクは通信を繋いだ)

もしもしネズミちゃん?

《(ノイズ)こちら本部マウスブリック。フレデリクどうしタ?》

3 34

(走力を失った機体が土埃を上げながら、巌銃の手前の地面へ前のめりに転倒する)

(フレデリクはすぐさまそちらへ銃口をへ向けるが、その間にも黒い触角の群れは前方から増えていく)

「2人とも」お願いね☆

(その隙をフォローするように、2機のヘキサギアが巌銃の両隣へ躍り出た)

2 28

(男の荒い息遣い)

(彼はそんな地獄に身を投じたガバナーの1人)

(都市の警備部に勤める勇敢な男だ)

ハァ…ハァ…糞!糞!キリがねぇ…!

(しかし疲労感からか、段々とその照準はズレてゆき、やがて…)

しまッ…!?

(撃ち漏らした)

(機体同士が衝突する音)

4 27

【霧海???】

(霧の中でドクロ頭のガバナーは目を覚ました)

うぅ…

(ムカデのヘキサギアの襲撃により、ルシア隊のスカージは、部隊から離れた場所に飛ばされてしまっていた)

痛っ…!

(鈍痛と倦怠感に耐えながらその身を起こす)

一体…何が…
…?…!
おい…君!大丈夫か!?

2 25

分からない。回避するので手一杯で
アレが…オーバードース?いや…
デミ、昨晩見たデータにソックリな物があったな?

--はい該当記録を発見しました。事件前、オーバードース改修以前の形態に非常に酷似しています--

なんでそんな物がここに…

静かに…!

(複数の脚が擦れる音)

4 26

--◾️◾️◾️ーーッ!!--

矮鶏ぉッ!
止まってくれぇ〜!!

(再び暴走するバニティレックス。それを追うのは2機の魔獣達だ)

--キャハハハ!うけるぅ〜--

--まるでゼンマイの玩具ですね、無様!無様!--

あ!?
なんだとうてぇm…!…

(3機のヘキサギアは、自ら霧の彼方に消えていった…)

4 29

【霧海東】

(東から突入したテスタロッサ隊は、お互いに若干の距離を開けながら霧の中を進んでいた)

(ヘキサギアの「隊列」というよりも、ひとかたまりの「群れ」の様に見える)

ん…?
これは、マズいなぁ…

(集団の中央部を走るテスタロッサが、そう呟いた)

テスタロッサさん…!

5 25

すまん…俺が気付いていれば…

(ソーンは謝罪をするが、先頭にいた彼のケストレイルもまた、かなりの損傷を受けていた)

気にするなソーン
それより敵は見えるか?

ああ…

(ソーンの視界が再びケストレイルのサーモセンサーに切り替わる)

1、2、3…全部で12機の中型ヘキサギアだな

3 26

【霧海南】

(銃声)(砲撃音)(連続した銃声)

(霧に突入したニーナ隊のヘキサギア達は現在)

(全員が物陰に「うずくまって」いた)

(コンソールを殴る音)
畜生!!
何人だ?何人やられた!!?

(ニーナが叫ぶ)

3人だ…
ヘンリーにキタマツ、エームからも応答が無い…!

3 24

(あまりにも衝撃的な事態)

(叫び声がそこら中であがり、ガバナー達に恐怖が伝染していく)

何だ…?何だよ今のは!?
アレがオーバードースか!?

(エースが思わず叫び出した)

違う…!
宮川博士のデータで見たぞ…あれは…
間違いない…
あれは「事件前の」オーバードースだ

5 29

(だから作戦を立案した寺島も思い込んでしまった…「ハーモニーズさえ遠ざけてしまえば対象は孤立する」)

(しかし事実はそうでは無い)

(オーバードースは、狂った祈り手は「更に先」に進んでいた)

(邪龍は自らの過去の似姿から)

(2機の「眷属」を創り出していたからだ)

5 30