轟音と共に衝突する
既に音速超過していた災厄に対し
牙剥き、爪を立て、打ち砕かんと力を込めた

しかし竜の肉体を持ってしてもその質量には勝てない
顎は割れ、身体に亀裂が走り出す。魔力も
身体が粉々に砕けそうになった、その時 

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ーー巨星が迫りくる

全てを押しつぶさんとする大質量は
今まさにアルゴーへ落ちようとしていた

しかし竜は自らの身体を以って立ちはだかった 

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ただひとり、彼女だけがそこに居た
絶望しかないこの状況に、彼女は立っていた
荒波揺れる船の上においても揺るがず
天上を見上げ、睨みこう口にした 

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マスターである彼女も例外ではない
突風によりアルゴーの船体へと叩きつけられ意識を失う

それはつまり、彼女が現実を理解する事も受け入れる事がないということ
これから訪れる死の瞬間を知る事もないのだ 

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流星雨が降り注ぐ
数多の爆発が海面、残骸、船上へと降り注ぐ
圧倒的な破壊力は爆発へと形を変え
英霊達は次々となぎ倒されていく 

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わたくしが持っていた唯一の選択権
わたくしという存在のすべてが
数多の終わりを跳ね除け続けたすべてを

今ここで、すべて手放しましょう! 

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ーーすべての否定を重ねて
         『わたくし』は走り出す 

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……けど、いいえ、しかし、それでも、だとしても 

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走り出す
あの時と違ってあの人の所に
『かつて』は此処で足を止めていた
そこで終わりにすれば
あの方は最後まで嘘なく果てられたからだ 

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ーーそう。『あの時』はそうして終わったのだ。 

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伝える事は出来なかった
出来るはずがなかった
あの方が壊れてしまうから
そこに至った時こそが
本当に最期となってしまうのだから 

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ーーそれは不可避の未来である。 

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最後の人「ーー地は動かず」
メルト「嘘、私のウイルスを打ち払ったの!?」
エルト「でも詠唱は中断されました……このまま押し切りましょう!」
スカディ「……否、それは違う」
エルト「……え?」 

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メルト「いかがかしら、私の毒の味は。全身から力が抜けて、もう指一本も動かせないでしょう?」
最後の人「……いや、そうとは限らない」
メルト「……え」

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最後の人「ーー空洞は虚空なり(アンバース)」
スカディ「唯一授けられるルーンの加護だ!征くがいい!」
メルト「ええ!真名解放……これでフィニッシュよ!」 

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メルト「ジャック、オリオン!一瞬でいいから礼装の護りをこじ開けて!」
ジャック「うん!」
オリオン「おうよ!」
メルト「……スカディ!」 

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最後の人「ーー神の形(ゴッズ)」
オリオン「なんて威力だ!カイニスのようにオリュンポスの神の加護があるのか!?」
トモエ「いいえ、神性は感じられません!つまり神の加護無しであの力を揮っているのです!」
魈狩怒「嘘だろ、おい……!」
スカディ「空、星……まさか!」 

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イアソン「ロイヤル・フォーチュン沈んでいくぞ!?一体何が起きた!?」
最後の人「ーー宙の形(コスモス)」
イアソン「ぐっ……おい、ダ・ヴィンチ!聴こえ」
『ーーーー』
イアソン「クソッ、今ので通信が途絶えたのか……!」 

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バソ『……どういう事だ。羅針盤が故障しているのか?方角と星の配置がまるで一致しないぞ』
最後の人「ーー星の形(スターズ)」
バソ『……!』 

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魈狩怒「今……何が起こった?」
パラ子「わかりませぬ。ぱっと見何も変わってないように見えますが……」
ロリンチ『こちらの計器は周囲の魔力量の上昇を確認している。何か変わった所はないかい!?』
メルト「変わった所って……」 

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